このレビューはネタバレを含みます
自宅で友人1人と。
2015年のバイオレンス映画。
監督は「最後の追跡」のデヴィッド・マッケンジー。
話は暴力的な少年エリック(ジャック・オコンネル「マネーモンスター」)が移送先の刑務所で再会したのは実の父親ネビル(ベン・メンデルソーン「ウーナ 13歳の欲動」)。暴力しか知らなかった少年エリックがネビルや刑務所仲間の囚人との出会いを通して徐々に変わっていくが…というもの。
初報から気になっていて、この度ゲオのレンタルで鑑賞。
さて、今作のパッケージやイメージからどういう話を連想するだろうか?
1人の粗暴な若者が刑務所にされて…という内容から、あぁ、なるほど。移送先の刑務所で実の父親に見守られながらも、成り上がっていくのか、少なくとも俺はそう観る前は感じていた。
けど、観てみると、なんつーかそれ以前の話。
この刑務所…快適じゃね?
冒頭、エリックが刑務所を舞台とした映画ではお馴染みの全裸での身体検査があるので(しかもボカシありの完全ガチ検査)、これは過酷な環境が待っているな…と覚悟してたら
…意外と自由!!っていう…笑
看守は最初こそ厳しい感じだけど、後はほぼ空気で、囚人たちも基本自由。普通に牢も開けっ放しで自分が行きたい部屋で仲間の囚人とくっちゃべってる始末(厳つい囚人が自分の名前が書かれたマグカップで優雅にくつろいでいる姿は吹いたw)。
タバコも蒸し放題だし、ヤクも隠れて取引しているもののほぼ横行しているのでフリードラッグは当たり前!!
おいおい、なんだよ!ここは天国かよ!!
意外と清潔な室内含めて、下手したらおれの部屋より住み心地良さそうだよ!!
なんだか、刑務所ってより、年取った男子寮って感じ。
だから、当初の成り上がりサスペンスというイメージは木っ端微塵に吹っ飛び、そこにあるのは少々バイオレンスな「日常」ドラマ。
お父さんとも仲がいいわけでもなく、お互いがお互いに粗暴な気質を持っているので遅れてきた反抗期というか、エリックの「メンター」というか「反抗期の息子を手に負えない父親」って感じなのもまた、意外だった。
ただ、緊迫感がないと言っても決してつまらないわけでもなく、エリックとネビルの微妙な関係性を軸に丁寧な人間関係をよく描けている。
まぁ、少々長く感じたが。
劇中、思ったよりバイオレンスな展開にはなるわけでもなく、それでも終盤ある出来事をきっかけに移送されることになる父親ネビルが最後に息子にかける言葉は胸に沁みた。
なんだかんだ言いながら、「腐っても」やっぱり「父親」なんだね。
そんな父親との別れを胸にスーっとフェードアウトするように去るエリックの姿もまた多くは語らなくても充分に伝わる「良さ」があった。
当初のイメージとは違ったが少なくとも観てよかったと思える作品だった。