Reimini

博士と彼女のセオリーのReiminiのレビュー・感想・評価

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
4.8
多くを語らない美しく儚い作品だった。初めのシーンから、どこを切り取っても宝箱のようにキラキラでどこか切なさもある映像と音楽が綺麗でとても魅力的。ジェーンとの出会いから二人が近づくところまでも本当に美しく、会うべくして会った二人としか思えない。そんな中、どこか不穏が続く形で描かれ、スティーヴンの病気が発覚。余命2年と言われても、愛し合う二人が生きることを諦めない姿にとても感動した。秀才でユーモアがある博士と強く美しいジェーンの寄り添い方からは、本物の愛情を感じた。二人にしかない素敵で特別な愛の形。最後は予想外でとても切ない結末になった。スティーヴンがジェーンに別れを切り出すところは特に涙が勝手に溢れた。しかし、二人が生きてきた道は消えないし、その一つ一つの過去が今の二人を作っているのは事実。たとえそれらの未来が二人の別れであったとしても、それを超える特別な愛があったとどうしても感じる。時が戻り二人の今までが描かれる最後の回想シーンはとても泣けた。ジェーンは病気を抱えた愛する人を支えながら子育てもして、本当に苦しい毎日を乗り越えてきたのだと思う。愛する人に寄り添うことのできる日々が幸せなのと同時に、先の見えない不安や終わりのない苦しみも同時に抱えていたはず。それを思うと、二人の決断には納得できるし、博士もジェーンに重荷を背負わせていると自分を責めることからも逃れられる。二人の愛の終わりはこれが最善だったのかもしれないと感じた。実話が元になっていることと、この作品の中での二人と向き合うと、そう感じてしまう。こんな素敵な愛を私も見つけたい。
そしてみなさんも口を揃えて言っていること、エディ・レッドメインの演技は圧巻。難しい役を見事に演じきっていた。すごい。
2022.03.1

現在や未来には選択肢があるけれど、過去は1つしか存在しない。今なんとなく選んだ行動は、その「今」が過ぎ去って「過去」になってしまえば、時間は二度と戻らない。だからこそ、過ぎ去ったものは全て、愛おしく大切に想いたい。それが今の自分の幸せに繋がっているからだ。たとえそれが間違った結論だと後悔したとしても、その過去が今を作っている。もしジェーンがあのとき、隣のパーティー会場に間違えて行ってしまったら、スティーヴンとジェーンは家族にならなかったかもしれない。だからこそ、この二人が出会えたこと、愛は確かにあったことは本当に特別なことだと思う。また、1年前に見たときはわからない部分も多かったが、今回はより深く理解できた気がする。別れを切り出したのはスティーヴンではなくジェーンだった。私に大切な人ができたからこそ、ジェーンが時折見せる悲しい表情や胸が締め付けられる想いを感じ取れたのかもしれない。愛する人が少しずつ病に蝕まれていくのを毎日毎時間目の前で見ると想像すると、本当に苦しい。最後はこういう結末になったけれど、「Look. What we made. 」という彼の言葉には本当に泣けた。二人が作り上げた愛おしくて大切なもの。それは今、なにを選んだとしても変わらない尊く素晴らしいもの。時間の研究をしたスティーヴンと彼を支えたジェーンが一番痛感しているであろう遡らない時間の尊さを感じる言葉だった。また、映画全体を通して問われていた「神」の存在について。去年見たときは気が付かなかったけれど、神を信じるジェーンと、信じることは重要じゃないとするスティーヴンの対照的な考えに注目して見ると二人の行動により納得がいった。この映画は毎年この時期に観て、時間の大切さを思い出したい。やっぱり大好きな作品だ。
2023.03.22
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