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博士と彼女のセオリーのcomaのネタバレレビュー・内容・結末

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

時間が足りない。濃密すぎる夫婦の記録…端折って端折って、1本の映画で二人の出会いから壮絶な共闘の日々を駆け抜けた。

結婚生活、というよりは闘いの日々。と名付けたい。
血も涙もない言い方をすれば、余命2年だったとしてもあのレベルの介護と育児の日々には私なら根をあげる。

ジェーン自身が学問を志す女性で、スティーブンの論文の価値を理解していたからこそ、2人は夫婦で居られたんですよね。
物理学云々はさっぱり分からないのですが、時間の謎に迫るスティーブンが、常に時間(余命)に脅かされている、という部分がスリリング。
次はどこが、どれだけ動かなくなる?指の1本まで固まってしまう日はいつ?そんな不安が付きまとう日々。

命の危機に瀕したシーン。
常人なら生かされなかったかもしれないが、博士は別。
声を失っても、脳が生きる限り彼の心は折れないのだと、使命は果たされるのだと反射のように判断するジェーン。これは普通の夫婦には真似出来ない。共闘する2人を、夫婦と呼ぶべきか?

一般的な夫婦の価値観で2人を測ることはできない、というのがミソで…これを不倫とは呼びたくないな。わたしは。
3人でなければ耐えられない日々があったのだから。それはどちらのお相手にも言えることですから。

だからこそ、女王の庭のシーンは素敵だったんですよね。博士と彼女が生み出したものの尊さ。数式はさっぱりだけど、それはハッキリと私の目に映すことが出来たから…
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