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博士と彼女のセオリーのsensatismのレビュー・感想・評価

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
4.6
2020/66
映画って序盤に目を惹かれるシーンが差し込まれていないとやる気が削がれると思ってる。そしてこの映画、2人のイギリス人学生が自転車で街を駆け抜けていく場面とても素敵でした。
エディ・レッドメインとハリー・ロイドのツーショット尊い。眼福。

前情報なしで鑑賞。
ポスターと日本語題名詐欺で普通の恋愛映画だと思っていた。ら、スティーヴン・ホーキング博士の人生を元妻のジェーンの視点から辿る伝記映画だった。
エディ・レッドメインの圧倒的な演技力が凄まじい。学生時代の物理オタクな変わり者の雰囲気伝わってきたし、ALSはまさに発病しているみたいだった。『リリーのすべて』はまだ観てないけどきっと研究熱心で真摯に演技と向き合っているのだろうなと彼の性格までうかがえる。

場面ごとにブリティッシュ要素が散りばめられていて胸がときめく
スティーヴンが二段ベッドからひょいと降り立ち踏み場にされたチェス盤
ロンドン・キングスクロス行きの列車
お庭で楽しむ紅茶
美しい 
イギリスの街並みや家の様子、小物美術、ファッションが美しかったしそれらの写し方とカメラワークも良かった。

スティーヴンとジェーンのこころの微妙な機微を捉えていた点も良かった。
ずーーーっと支え合ってきて簡単に壊れるはずのない絆にもどこかにズレが生じる。ジェーンは子供を育てるのも手一杯なのにスティーヴンもみなきゃいけない、自分のやりたいことなんて何一つできない状態。
スティーヴンは偉大な物理学者になる未来を見据えながらも闘病生活を送らねばならない。伝えたいことをうまく表明できなくて周囲からの劣等感も感じてるはず。博士号を取得したあと友人たちと食事を取るシーンがとても印象的だった。自由にナイフとフォークを使いこなして食事ができるのにかたや自分は口に運ぶことさえも難しい。手元のスローモーション再生とスティーヴンの思い立ったような表情は彼の気持ちを非常に上手に再現してたと思う。
ジェーンにはジョナサン、スティーヴンにはエレイン、それぞれ違うパートナーを見つけたことはショックだったけれども理解できる。そういう一筋縄ではいかない人間の複雑な心境が語られていたのが私は好きだった。

とにかく場面が美しくて人間の心理が言葉と表情以外にも多様に語られていたところが好き!!
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