エクストリームマン

ストレイト・アウタ・コンプトンのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

4.8
Bad publicity is good publicity !

予告編、ポスター等でアイスキューブの息子があまりに似ていることに衝撃を受け、実際映画を観てもその衝撃は薄まることなく寧ろ増すくらいなのだけど、そんな見かけ上の類似に終わらず、N.W.A.というヒップホップグループの軌跡を、清も濁も、光も影も併せて描き切った傑作伝記映画。

所謂史実を単になぞっただけでなく、劇映画として観やすいようにきちんとエピソードを選択しているし、ディティールの詰め方も過剰すぎなくていい。彼等が体験した成功と失敗、挫折の物語を、ヒップホップという音楽における歴史、レジェンドとして描くと同時に、より普遍性を持った青春群像劇としても描いていて、ヒップホップという文化にコミットしていなくとも楽しめるに違いない。

繰り返しになるけど、アイスキューブの実の息子、オシェア・ジャクソン・Jr.はもう見た目が文句なしに本人な上、仕草とか喋り方までアイスキューブそのもの。特に感心したのは、歌ってる時の口の上げ方。歌ってる、若かりし頃のアイスキューブがそこにいた。

コーリー・ホーキンス演じるドクター・ドレーは、確かに本人も気にしていた通り声も容姿も似ていないけど、これぞ映画のマジックというか、本人の演技と演技のアンサンブルでちゃんとドレーに見えてくる不思議。

ジェイソン・ミッチェルのイージー・Eも良かった!色々やらかしても、しかたねーなと許してしまえそうな愛嬌をしっかり醸し出していたし、N.W.A.再結成をドレーに打診する電話のところ表情とか最高。

単純に「無知な若者から金を巻き上げた」アコギなヤツとしてキャラクター付けをしてもよさそうなマネージャーを、一方で不当な人種差別には敢然と立ち向かう人物としても描いていて、その辺りの塩梅も絶妙。

極近い時代にこんな破天荒なことが起こっていたのかと驚くと同時に、問題の根深さを痛感し、体感できる(しかも堅苦しく退屈な形でなく)、最高の映画体験だった。