ナガ

ストレイト・アウタ・コンプトンのナガのレビュー・感想・評価

4.5
【無個性の時代に生まれた強烈な個性】

1980年代。経済はグローバル化していき、アメリカでは富裕層と貧困層の差を大きく広げたのがこの時代である。つまり後期資本主義社会とも言われる時代だ。こんな時代には個人は個人としてではなく、消費者として、また群衆の1人としてといった代替可能な存在へと成り下がっていった。いわば人間から個性というものが失われていった時代なのだ。

個性が失われていった時代。そんな時代に現れた強烈な個性。それがN.W.A.だった。

この映画でもその見せ方は意識されてるのではないか?と感じた。警察であっても、女性であっても、ファンであっても誰もが代替可能な希薄な存在、あくまで、群衆や集団、数ある中の1人的な描かれ方がしていた。

人々は自分たちが喪失した個性を、N.W.A.に同調することで獲得しようとしたのではないか?何かを叫ぶかけがえのない個人としての存在意義を取り戻そうとしたのではないか?そんな叫びが大きな流れとなりその象徴としてアイコンとしてN.W.A.はスターになったのだと私は考える。このことがすごくこの映画でも意識されているような気がしたので考察してみた。

ヒップホップカルチャーに全く通じていない自分も強く心を打たれた作品であった。