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裸の重役のisopieのレビュー・感想・評価

裸の重役(1964年製作の映画)
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特集/森繁久彌の文芸映画大全

定番の源氏鶏太原作のサラリーマン映画も、ていねいな脚本と演出で見ごたえあるものに。森繁久彌・有島一郎・加東大介ら東宝リーマン映画の常連もいつもとちがう滋味深い演技。スコープ画面を十全に生かす西垣六郎の撮影、叙情的な団伊玖磨の音楽もいい。

娘の星由里子と部下の児玉清の仲をけっして認めなかった森繁が折れるプロセスは、シナリオにもうひと押し納得させられるものがほしいところだが、料亭でふたりの結婚を許してやる芝居場は力のこもった名演であった。

森繁の壮行会の席で部下たちが「♪今日もこんなに飲めるのは日高さんのおかげです/日高さんよありがとう」と、「兵隊さんよありがとう」の替え歌を歌う。これはこの映画のプロデューサーでもある東宝の重役、藤本真澄の宴席で恒例だったというエピソードそのままである。
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