あかの

追憶と、踊りながらのあかののレビュー・感想・評価

追憶と、踊りながら(2014年製作の映画)
4.0
ゲイであることをカミングアウトをすることができぬまま亡くなった息子と、その同棲相手の友人(恋人)と、母親と。
始終胸がキュッとくるような切なさの漂う作品だった。
言葉が通じないが故に上手くいかない部分と、言葉が通じないからこそ上手くいく部分と、その両方が描かれていた。
ラスト、言語の壁を越えて通じ合ったかに思えたジュンとリチャードだが、ゲイのリチャードに対しジュンが子供を持てば云々と言ってしまったことからも分かるように、きっと全てを分かり合うことができた訳では決してないのだろう。唯、カイを想う気持ちだけは共有をすることができたのだと思う。それで十分なのだ。
リチャード役のベン・ウィショーが、見事なまでに儚く崩れそうな青年を演じていた。カイ役のアンドリュー・レオンも、魅力的なイケメンだった。白く霞むような光の中、ベッドの上で微睡み戯れる2人のシーンが、最高に美しかった。過去の現実と現在の幻想が入り混じっている物哀しさも相俟って、本当に美しいシーンだった。
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