こたつむり

ザ・ゲストのこたつむりのレビュー・感想・評価

ザ・ゲスト(2014年製作の映画)
3.8
★ 幸運も不運も予想外の先に在る…
  だから、何も考えてはいけない…

これは地味に良作。面白い作品でした。
物語としては「息子を失い、哀しみに暮れる家族の元に訪れた一人の男。息子の友人だと名乗る彼はとても魅力的だったが、ある秘密が抱えていた…」と不穏な空気が流れる展開。

彼がいったい何者なのか?
家族にとって益なのか害なのか?
どちらに転ぶか分からないところが面白いのです。

ただ、ぶっちゃけた話。
本作を楽しむためには条件があります。

それは
「先入観を抱かないこと」
「先の展開に期待しないこと」
「物語に解答を求めないこと」
つまり、文字どおり“頭を空っぽ”にすべきなのです。

何しろ、予想外の客ですからね。
そこに予断を含んではいけません。
家族の気持ちとシンクロし、ころころと転がるボールの行く先を案じていれば良いのです。

これはある意味で無我の境地の訓練。
僕らは常日頃から色々な期待を胸に生きていますからね。その期待をゴッソリと削げ落とすことが出来れば…“異質な果実”を口に含むことが出来るでしょう。

しかも、ゲストを演じたダン・スティーヴンスの雰囲気が素晴らしいのです。物静かな笑みは本当に人を惹き込みますよ。メジャーな作品に出演していないのが不思議なくらい。これからブレイクすると良いですね。

まあ、そんなわけで。
ハロウィンに訪れるお化けのように。
「トリックオアトリート?」と問い掛けてくるゲストを楽しむ作品でした。

それはさざ波ひとつない水面の下。
狂おしいほどに切なく、そして暴虐。
平穏と悪夢の境界線から先は…あなた次第。
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