賽の河原

オデッセイの賽の河原のレビュー・感想・評価

オデッセイ(2015年製作の映画)
3.9
予告は観てたけど劇場ではスルーしていたので、今更鑑賞。
「どうせ設定で出オチのアルマゲドン形の感動の押し付け超大作でしょ〜?」くらいのイメージしかなかったけど、リドリースコットナメてたらいけませんな。
とりあえず思いの外ハードなSF設定で、「こういうことありそう」っていうレベルで収まってるのが凄くて、火星でサバイブするマットデイモンのあれやこれやも「すげー工夫だ〜」ってなるくらいにはちゃんとしてる。
それでいて主人公の追い込みが結構激しい。
私も結構映画見るのでアレなんだけど、「人生を肯定する映画」とか「人間の尊厳を描く映画」って世の中ゴマンとあるわけで、そういう映画で残念な映画って大体主人公の追い込みが足りないんですよ。「いや、お前大して追い込まれてねーのに人生の意味なんか問うてんじゃねえ!」とかさ、「お前が頑張ったのは分かるがカタルシスにはならねえよ!」とかね。
その意味で本作は普通に主人公の追い込みがハード。「俺ならこれは心折れますわ〜」みたいなところが少なく見積もっても2回はあった。
それをマットデイモンが乗り越えたり、あるいは地球の人々が色々な障壁を乗り越えながら智慧の限りを尽くすという。それゆえカタルシスや感動がすげーでかい。「前向きに前進していくことの尊さよ!」という。
それでいてマットデイモンの家族などは完全に切断されていて、もっさりした家族愛とかがないのは凄く爽やかでいいと思うし、あとは何と言っても音楽ですよね。絶望的にハードな状況に対してジョークとノリでポップに乗り越えていく。書いてて感じますけどガーディアンズとかデッドプール的でもありましたね。
深刻で暗いSFに対して明るくポップな一本として貴重だと思いました。
インターステラーのマットデイモンは最悪野郎なんだけど人間の弱さとかが出てるアレはアレでいいキャラでしたけど、マットデイモンも成長したなあ〜としんみりしたり、ゴールデンアイのトレヴェルヤンの魂も救済されたんだなあ〜と思いました。(違う)
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