小一郎

丸の小一郎のレビュー・感想・評価

(2014年製作の映画)
3.8
「ばかうけ」の次は「丸」でしょ、と思い観たSFミステリー。 出てくるのはミラーボールを黒く塗ったような球体だけの低予算、インディペンデント映画。海外の批評家の間で話題になり、<日本にその評判が逆輸入。ついに劇場公開が決定した>(公式ウェブ)。

<ある朝、無職の鈴木鉄男とその彼女は、寝室の隅に浮かぶおかしな球体に遭遇し、それに目をやった瞬間、そのままの姿勢で静止してしまう。その状況に気づかぬままリストラを告白し始めた父親も静止。認知症の祖母と帰宅した母親は不審に思い通報するが警察官も次々と静止していく>(公式ウェブ)。

原因がわからない状況に、静止していない人がアレコレ理由を考える。さらに予想外の出来事も発生する。仕事にカタを付けなければならない警察はリストラを苦にした父親の籠城と断定するが、それを覆す証拠をつかんだ記者の出口隆一は真相を究明しようとして…。

真相究明に囚われた出口は、どんなに調べて、考えても辿りつかない真相にやがて思考を停止し、そのフラストレーションを原動力に体だけが動いていく。

一方、鉄男は体が動かなくても、頭は動き思考はできる。だから、体が動かない分、思考するしかない。思考停止した人、思考し続けた人の違いは何かを示すようなラストに、なるほど感。

この日監督と映画評論家の方のトークショーがあり、制作秘話を聞いた。スタッフが揉めたことで、ラストのシナリオを急遽、書きかえたとのこと。

個人的には書きかえる前のオチになるのかなと思って観ていたけれど、この映画のオチの方が深みがあり、考えさせてくれるので良い気がする。

●物語(50%×4.0):2.00
・ナイスアイディア、偶然の産物とはいえ、ナイスオチ。

●演技、演出(30%×3.5):1.05
・瞬きもせず、ずっと止まっているのって大変ですね。でもそれが奇跡のシーンを生むことも。大阪・西成区のローケーションも何か起こりそうでグッド。

●映像、音、音楽(20%×3.5):0.70
・不穏な空気感にピッタリな映像ではないかと。