えんさん

マイ・ベスト・フレンドのえんさんのレビュー・感想・評価

マイ・ベスト・フレンド(2015年製作の映画)
3.5
ジェスとミリーは幼い頃から何でも話し合ってきた仲。ミリーは持ち前の明るさから、若き時からバンドマンと恋に落ち、可愛い子どもを2人授かるとともに、自身もキャリアウーマンとして輝かしい生活を送ってきた。対するジェスは奥手だが、環境保護活動を通じて優しい夫と出会い、なかなか子宝には恵まれなかったが、努力の末に念願の子供を授かったことが判明する。しかし、その時と同じくして、ミリーに乳ガンが見つかり、妊娠の喜びを彼女に喜びを伝えるに伝えられなくなる。。「チャーリーズ・エンジェル」のドリュー・バリモアと、「シックス・センス」のトニ・コレットが互いに支えあう親友同士を演じた人間ドラマ。「トワイライト~初恋~」のキャサリン・ハードウィック監督が、二人の深い絆を映し出していきます。

予告編が結構イケイケな感じな割には、話としては難病(というか、ガン闘病)ものかと、あまり触手が動かない作品でしたが、これが観てみるとなかなかお洒落でいいんです。「セックス・アンド・ザ・シティ」を楽しんだ女性向けという宣伝文句も踊りましたが、「セックス〜」よりも、イギリス映画なので割りとスタイリッシュで、抑えたトーンのファショナブルな作品と言ったほうがいいかもしれません。その雰囲気がピッタリハマっているのが、意外にもトニ・コレットのぶっ飛んだ演技なのです。女性ながらも、カメレオン役者というイメージが僕の中では強かったのですが、これだけ弾けた役どころを気持ちよく演じているのは珍しい。共演のドリュー・バリモアが出演した「チャーリーズ・エンジェル」でいうと、キャメロン・ディアズのようなポジションといえば分かるでしょうか(笑)。コレットがとにかく太陽のように作品の中で輝いているので、ガンとの闘病という暗い話に余計に陰影がついていくのです。

とはいいつつも、決して暗いお話にならないのもいい。太陽のようなミリーに影がさした時、親友で地味だったジェスの妊娠のエピソードがきちんと支えるので、2人のお話として上手くバランスよく進んでいくのです。それに彼女ら2人の夫役を演じたドミニク・クーパー、パディ・コンシダインの影の演技がすごく光っているから、妻であるミリーとジェスのお話がより光っていくようにも思います。「セックス〜」でもそうですが、女性同士の友情というのは、男性同士とはまた違っていますよね。男性側から見ると、なぜにあれだけ近い距離感で交流することができるのか、ときには夫よりも近い距離にいるんじゃないかと思えてきたりします。これこそ、女性ならではしか分からない友情の在り方なのかもしれないですが、夫(男性)の目線からでも十分に楽しめる作品になっていると思います。