ベルサイユ製麺

コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

2.9
かつてケヴィン・スミス監督作が特別な存在感を示していた時期が確かにあったと思うのです。具体的には多分初期3作目くらいまで。自分は随分前、映画をちゃんと観ようと思い始めた頃に鑑賞したのですが、それなりに楽しんだものの何が特別なのかは良く分かりませんでした。思い返せば、“どローカルvsグローバリズム”だったり“enjoy this life!”って感じとかなのかしら?今改めて観直したとしても、時代の空気感は変わってしまってるし、カナダからは新しい才能がニョキニョキ、オフビートコメディの基準点も日夜更新されてしまっています。…とにかくケヴィンは特別、だったらしい。
それから、何がなんだかケヴィンの作品は徐々に注目されなくなって、『クラークス』の続編を撮った(しかもカラーで…)辺りで、決定的に“終わった”感が漂ってしまっていて、以降は自分も観たり観なかったりでした。
前作『Mr.タスク』はちょっと注目されてた様でしたけど、精神衛生上あんまり良くなさそうに思えたので個人的にはスルー。で、とびきり素っ頓狂な印象の今作、久し振りのケヴィン・スミスはどんな塩梅なのか、確認する為に借りて観ました。期待3:不安7ぐらいです…。

…むむむむ。どうしたものか。意図が全く図れない。敢えてのダサい風、の醸し方が素でダサい。リラキシンというより不真面目。TV番組くらいのオーラしか無くて、なによりギャグが面白くな…
主人公は2人組の女の子。『Mr.タスク』に出ていた役柄そのままみたいです。タイニー×タイニー…。片っぽの子は監督の娘さん。もう片っぽはジョニー・デップの娘さん。ジョニー・デップはいつもの原型を留めない変装で、怪演ごっこでご機嫌なご様子。みんなでワイワイやってます。ローカル映画は突き詰めると個人の為の作品になってしまうのか。そもそも人に見せる気が有ったのか…。
…最低限、彼等が楽しかったのなら良いです。またいつか、ケヴィンの事が気になったら観る事もあるかもしれません。もし自信作が出来たら、気にせずとも分かるようにはっきりと輝いてみせて欲しい。頭のどこかには『クラークス』の輝きの事をいつも留めておきます。