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世界から猫が消えたならのkmtnのネタバレレビュー・内容・結末

世界から猫が消えたなら(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

そういえば感想書いてなかった。
もともと原作が死ぬほど嫌いで、実は批判目的で見たんだけど、
原作と比べると、映画は結構良かった。


原作はたまたま本屋で平積みにされてて、面白そうなあらすじだったので、特に中身を見ずに購入。
家に帰って読み始めると、その村上春樹likeな文体(だが内実はそれとは程遠い)や、キャラクターの言動の不可解さ、映画好きという割には驚くほどメジャー作品しか上がらない映画話などなどなど、
思い出すだけで怒りが湧いてくる作品だった。


この小説の作者の川村元気という男が、実は本業は映画プロデューサーで、
この小説を原作とした映画を企画していると知った時は(これは僕の思い込みかもしれない。その後映画化されたクレジットには川村元気は入っていなかった為)、
小説を死ぬほど舐めきってると思ったし、自分でも驚くほど腹が立った。
経歴を調べると、モテキや細田守作品など、ロクでもない作品に多く関わっている(君の名は。は好きですが)。
映画プロデューサーの片手間で、適当に泣ける小説書いて、職権濫用でそれを映画化して一儲けするなんて、
正直こいつは資本主義が生み出した悪魔だとさえ当時思った。


映画も公開時に見に行こうとかと検討したが(激烈なアンチというのは、時としてはファンの執着をも上回る)、
いや、これ以上奴を儲けさせるわけにはいかないと、結局見ずに終わっていた。
この度Netflixのラインナップに追加されていた為に、ついに視聴。


いやー、ちょっと拍子抜けというか。
原作でクソだなあ〜と思った部分が結構修正されていて、割と普通に見れた。


悪魔?がアロハシャツを着ておらず、チャラくもないし(この、いかにも漫画的でわかりやすい感じが読者をなめてる)、
猫のキャベツは喋らない(原作のキャベツのコロ助みたいな喋り方は背筋に悪寒が走った。子猫がこんな風に喋ったら可愛いでしょ〜みたいな)。
なんなら世界から大切なものが消えていく様を、CGを用いて、文字通り「消える」場面を真正面から表現しており、
原作のキモいところが消え(それにしても台詞が臭い部分が多いが、それは全て原作が悪い)、
原作がふわっと適当に書いていた部分をしっかりと視覚的に表現していた。


あと、やはりシネフィル二人に関して言及したシーンも、原作の薄っぺらい映画談義と比べると、
そもそも話に出てくる映画の数が圧倒的にこちらの方が多いし、
ちゃんと主人公と親友は筋金入りのシネフィルだなあ〜って感じがして良かった(もちろん数を見てれば良いというわけじゃないけれど)。
だからこそ、映画が消えていくシーンは結構、グッときたし、
全てが終わった後の本屋で出会う二人の姿は純粋に悲しい。


原作支持派の感想などを読んでいると、
キャベツ(主人公の飼い猫)が喋らないことで原作の良さ、伏線の回収などが台無しになっていると怒っている人がいるが、
根本的に、小説というものに一切思い入れのない映画プロデューサーが、小金稼ぎの目的で書いたクソみたいな小説が原作なので、
僕としてはよくここまで普通にまともな映画にできたなあと感心するばかりです(川村元気は映画では原作のみのクレジットで、制作に関与していないみたい。たぶんそれが良かったんだろう)。


後、前から思ってたんだけど、
宮崎あおいの演技が無理。
ほかの役者さんがみんな上手いのに、宮崎あおいってどの作品でもおんなじ演技しますね(今回、改めて佐藤健って上手いんだなと思い知った)。
すごく間延びした感じで「あなた……何々だよね……」みたいな。


トムさんを演じている、奥野瑛太って誰だよ、これ?知らねえ!っと思ってwikipedia観たら、
サイタマノラッパーのMIGHTYかよ!!
人間的魅力に溢れすぎてて、びっくりしました。
誰がどう見ても世界を旅するバックパッカーにしか見えない、すごい(台詞がやたらと臭いのがたまにキズ)。


かなり勢いで書き連ねましたが、
原作を読んだのが、かなり前なので記憶違いがあるかもしれません。
しかしひとつハッキリしているのは、
僕は原作小説を読んだ時、本当に本当に腹が立ったということです。
というわけで、原作と違い、映画はそこそこ良かったです(相対評価かもしれないけど)。
ひとまずこれだけは言っておく、川村元気、許すまじ。
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