KEITO

おみおくりの作法のKEITOのレビュー・感想・評価

おみおくりの作法(2013年製作の映画)
4.1
自分はあまり『孤独死』という言葉が好きではない。誰にも看取られないで死ぬという事は、そんなに不幸なことだとは思わない。どんな人間でも必ず生きた証や足跡を残して死んでいく。その人の人生も分からず、孤独な死と決めつけてしまうのは如何な物だろう。

身寄りなく亡くなった人を見送る仕事の民生係ジョン・メイ。彼は勤続20年以上もの間、ほとんど一人で働いてきたのだろう。友達も家族もいなく趣味と呼べるような物もない、生きているけど『死んだような人間』。

彼は最後の仕事に担当したある故人の足取りを辿ります。しかし行けど訪ねど故人への風当たりは最悪。「葬儀なんて行かないよ」。

ですが故人の娘と出会い、彼の人生にも転機が訪れます。恐らく初めて感じたであろう『生きている実感』。しかし彼に悲劇が起こります。あれだけ几帳面だったのに。あれだけ周りに気を配っていたのに…。

笑えるところも多々あります。ジョンを演じるエディ・マーサンの真面目だが、どこかユーモアのあるキャラクターは見事。遺族を尋ねると必ず食べ物を貰っていたり。何かあげたくなるような人柄なんでしょうね(笑)

彼が紡いできた糸は、一つの束になりみんなを引き寄せました。孤独だけど孤独じゃない。死者の魂はジョンと共にここで生きていくのでしょう。素晴らしいラストシーンだと思います。

ふと自分の人生を振り返ってみました。もし自分が言った何気ない一言で誰かが救われているのだとしたら…?誰かが感謝をしてくれてるのだとしたら…?きっと人生でこれほど嬉しいことは無いでしょう。