このレビューはネタバレを含みます
ひとつひとつの細かい動作で主人公が丁寧で几帳面な性格だとわかる演技が素晴らしい。
故人の人生と人柄を調べ、真摯に向き合い見送る。見晴らしの良い場所や、パラシュート連隊に所属した経歴があることからベレー帽に合わせた色の墓碑を選んだシーンは特に感動した。
退職をする前に上司の車に放尿したり、窓に引っ掛けたベルトを歯で噛んでぶら下がってみたり、これまでの人柄からは考えられない、まるで別人のような行動を取るのも故人と向き合って挑戦してみるという主人公自身の成長のような変化があるのも面白かった。
プライベートで人と会う描写はなく、唯一会う約束をした女性(故人の娘)は、主人公の死を知らずに物語は終わり、参列者は集まらないと思っていた葬儀に遺族や生前の遺族が集まっているのは主人公が直接訃報を知らせたことが大きな要因だろう。
主人公の後任のような事務的な作業では到底考えられなかったと思う。(わかりやすく対比になるシーンもあった)
葬儀に参列する人はおらず切ない結末かと思いきや、主人公が今まで見送ってきた大勢の人々に見送られる心温まるラストだった。