yukihiro084

おみおくりの作法のyukihiro084のレビュー・感想・評価

おみおくりの作法(2013年製作の映画)
4.3
今朝は早かったのに、夕べ、
(アベンジャーズ エンドゲーム )を
観始めたんですよ。
妻は普段、早く寝たら?とか、
それ観たんだから観なくていいじゃんとか、
言うんですけど、昨日は黙ってていて
くれて。真夜中に、終わる訳ですよ。
何回も観てるから、彼らがどうなるか、
なんて、知ってる訳ですよ。
はじめて観るみたく、じーんとして、
目が痛いなぁー、花粉症かな?と
ティッシュで目元を拭くと、
僕、泣いてたんですよ。まだ泣くのか
と、少し笑えてきて。

またレビュー書きたくなって。
再レビュー。

息子は、東日本大震災のひと月後に
生まれて来たんですよ。
今と同じような自粛ムード。
余震。計画停電。灯の消えた繁華街。
あまりにも大きな悲劇に
呆然となったあの春に。

たけしは言う。
『1人が死んだ事件が2万件あったって
ことなんだよ。』って。

さて映画です。
『おみおくりの作法』。
原題は、STILL LIFE
あっ、この俳優さん見たことある!
って声をあげたくなる俳優さん代表
エディ・マーサン主演。

身寄りのない孤独死をした人々を
ひとりで(見送る)民生係のジョン。
遺品から遺族を探したり、
孤独死を淡々と事務的に処理するので
はなく、故人に贈る言葉を考え、
家族や親戚でもないのに、
光の当たることのない人々を見送る。

無口で質素で地味なジョンの日常は
やはり、質素で地味だ。
たぶん映画向きではない主人公だろう。
落ち着いた物語のこの誠実な主人公には
きっと映画的な奇跡は起きないのだろうと
僕は勝手に思っていた。だから、
だから僕は、この映画のラストに心が
ギュウとなって、鼻の奥がツーンとなって
目の前がボヤけてきて、間抜けに
『あぁ』なんて声をもらしてしまう。

ウイルスによる感染者数も死者数も
少しずつ麻痺してくる。それは
数字になり、情報のみになる。
だけど、そこには悼むべき死が
あるんだよね。悲しみがあるんだよね。

震災の後、当初考えていた息子の
名前の、漢字のみを変えた。
そんな息子は今日も、
大人たちを笑顔にする。よし。

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最初のレビュー。

ニュースとか観てると、
よくコメンテーターとか、
観ているうちの妻とか
『まるで映画みたいだね。』と言う。

カーチェイス、劇的な再会、
大自然の驚異。とにかく絵的に
劇的な出来事や、奇跡的な
エンディングは、『まるで映画
みたいだね。』って、なる。

でもさ、そんな劇的な人なんて、
そんなにいる?いたら、ネタ不足で
続編とかシリーズとか
あんなに作らないよね。
実際はさ、そんな映画向きな
劇的な人なんて、少ないよね。

特に劇的でもない、毎日代わり映えの
しない日常があって、代わり映えの
しない食事、代わり映えのしないテレビ、
代わり映えのしない会話があったり
しない?それは決して悪いことじゃ
ないんだけど。

この作品の主人公だってそう。
頑張っても報われなかったり、
気付いて欲しいのに気付いて
もらえなかったり。

毎日、淡々と過ぎてゆき、
退屈とも思える日々かもしれないし、
語るほどのものもない人生かもしれない。

彼は僕らだよ。

だから、ラストに、
心が震えるんじゃない?
僕は好きだけどなぁ。

映画館で鑑賞。
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