短文感想
2015年は良い映画が目白押しの年だった。
今作もそのひとつ。見逃していたのだが、やっと観ることができた。
ジョン・メイ(エディ・マーサン)は地域の民生係。いわゆる孤独死を迎えた身寄りのない、若しくは引き取り手のない人を弔う事が仕事である。
自身も身寄りがなく、友達もいない。
だが、腐りもせず実直に熱心に仕事に取り組む姿が胸を打つ。。
静かで、温かくて、ささやかで。
優しくて、慎ましやかで、穏やかで。
人のせいにしたり、社会を恨んだり、毒を吐いたり、酒に溺れたりせず、淡々と自分の仕事に邁進するだけ(意外なストレス発散法には少々驚いたけど…)。
シンプルだけど、なかなか難しいこと。
彼の人柄が今作の品格を保っている。
そんな折、人員整理の為解雇を言い渡されたジョンは、最後にビリーという男の"おみおくり"をすることになる。
ビリーの遺品から彼の人生を遡るうちに様々な出会いがあり、少しずつ変わっていくジョン。
諦めかけていた新しい人生の扉が開きそうになった、その矢先…!!
悲しくもあり、切なくもあり、それはないよ、、と泣き崩れた後に、静かに差し込む光。。
そうか、そうだったのか。。
全てが氷解し、これで良かったと思える。
人生なんて、そんなものかもしれない。
どこから見るか、どう感じるかで、同じ人生でも受け止め方が変わる。
色んな映画や小説とダブる所があった。
悼む人、おくりびと、嫌われ松子の一生、
ミュージカルCats、泣いた赤鬼、フェリーニの道、、
でも、そのどれとも違うラストに私は言葉を失った。。
何とも言えない余韻にしばらく身を委ね、
体の奥の方からあたたかいものがゆっくり溢れてくるのを、じっくり味わった。
とても、好きな作品になった。。