EDDIE

地上の星たちのEDDIEのレビュー・感想・評価

地上の星たち(2007年製作の映画)
4.6
誰も認めてくれなかった…友達も教師も両親でさえも。
人間は千差万別。それぞれに個性があるはず。前半は嘲笑われ厳しく叱責される少年の姿を見て胸が痛む。ただ、一筋の光が…新任教師の登場、ひとつの出会いが全てを変えた。
少年の笑顔、それだけで涙が溢れる大傑作。

〈感想〉
上映時間164分。インド映画らしい長尺。
観るまでに何度も二の足を踏んでしまいましたが、最高に好きなインド映画の一つになりました。

正直前半は主人公の子供イシャーンが体験する日々をずっと見せられる中で、あまりにも理不尽な仕打ちが多く、観ていられませんでした。
それぐらいツラい描写の連続。

だけど中盤ぐらいから新任教師のニクンブ先生が着任してから様子が変わります。
学歴社会、受験戦争が勃発するインドらしいといえばそうですが、とにかく勉強できない子供は失敗のレッテルを貼られてしまいます。
そんな中、どんなに厳しく指導しても、マイペースで全く進歩しないイシャーンに我慢できなくなった大人たちは厳しく叱り続け、そしてエスカレートしていきます。

イシャーンはつまりある一種の発達障害の持ち主なわけですが、そんなこととは露知らず、ただの反抗的な少年としか見なされず、結果的に誰にも頼れずビクビクして過ごすようになっていくんですね。
この一連のシークエンスがつらすぎて、もう心がえぐられていきます。

ただニクンブ先生は違うんですね。
彼の個性を尊重するし、さらにイシャーンに肩入れする彼自身のバックグラウンドというのも上手く作用していきます。

前半がどんなにつらくても、後半それを思いっきり巻き返していきます。
もちろんインド映画らしいダンスシーンも随所に挟まれながら、徐々に楽しくなっていくんですね。
後半の感動を味わうために、鑑賞者には悪いが辛い前半を味わってもらおうという製作者側の意図があるかのように後半のスッキリ感と感激度合いは大きいです。

本当に本当に最高な映画でした。
日本未公開作品で、唯一Netflixだけで鑑賞できます。
時間の長さには億劫になりそうですが、是非とも観てほしい作品です。

〈キャスト〉
イシャーン(ダルシール・サファリ)
ラム・シャンカー・ニクンブ(アーミル・カーン)
ラジャン(タナイ・チェーダ)
マヤ(ティスカー・チョープラー)
ナンドキショア(ビピン・シャルマ)
ジャビーン・カーン(ギリジャ・オーク)

※2022年自宅鑑賞119本目
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