回想シーンでご飯3杯いける

地上の星たちの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

地上の星たち(2007年製作の映画)
4.3
こんな素晴らしい作品が日本未公開だなんて信じられない。若き日のアーミル・カーンが、主演に加え監督としても指揮を取り、発達障害の少年と、独創的な美術教師の触れ合いを描いた渾身の1作だ。

奇抜なアイデアと行動で、学校の中で目立っていた少年が、インドの競争社会や父親の厳しい教育の中で自分の殻に閉じこもってしまい得意の絵を掛けなくなってしまう。その異変に気付いた美術教師が、独自の指導法で少年の心を開いていく様子を描いた、何とも感動的な作品だ。

観ていて辛くなる描写も多く、道徳の教科書を読んでいるような真面目さがあるのも事実だが、そこをアーミルのユーモアで上手くカバーしている。「きっと、うまくいく」のラストでアーミル演じるランチョーが学校を開設するシーンがあったが、あの学校でもしランチョーが指導しているのなら、きっと本作の美術教師みたいな感じなのだろうと思う。そういう意味で、同じく教育を題材にした「きっと、うまくいく」の続編を観ているような感覚もある。

絵を題材にしているので、特に終盤は、インドらしい華やかな色彩に満ち溢れた解放的なムードが魅力的だ。人口が多いインド故に、教育は大きな課題であるはず。そこにしっかり向き合うアーミル・カーンの熱い視線を感じる力作である。

そのアーミル関連作品を含め、日本未公開のインド映画を頻繁にラインナップしているNetflixの動向にも期待!