こたつむり

デッドプールのこたつむりのレビュー・感想・評価

デッドプール(2016年製作の映画)
3.3
出来の良い同人誌みたいな作品。

可でもなく不可でもなく。
血沸き肉躍るとまで楽しめたわけではなく、されど睡魔に襲われるほどに退屈だったわけでもなく。腹から臓物が飛び出るほどに爆笑したわけではなく、されど恐ろしいほどの寒気に身を捩って風邪をひいたわけでもなく…っていくらでも続きそうなので、このあたりで止めておきますが。うん。何とも微妙な作品でした。

本作の魅力って独特のノリとギャグだと思うんですが、身内で盛り上がっている感が強くて…物語世界に入り込めなかったんですね。喩えて言うならば「営業部のスズキさんが酔っぱらって転んでたよ」なんて会話で大盛り上がりされても…そもそもスズキさんを知らないし、みたいな。

また、主人公がメタ視点で語り掛けてきても。
「これは虚構ですよ」と強調されるだけで。
うん。物語に惹き込まれていれば、それで盛り上がれるのは理解できるんですけどね。

たぶん、「こんなヒーロー見たことない!」という謳い文句に期待し過ぎたんだと思います。結局、物語の骨格は他の勧善懲悪ものの作品と大して変わらなかったですし、主人公の下品さと弾けっぷりも想定外と言えるほど破天荒ではなかったし。

正直なところ、緑色で出来損ないの銀行強盗みたいなマスクをかぶっている主人公の“あの”映画の方がアンチヒーロー映画だったと思います。まあ、あれはあれで主人公は真っ当なヒーローでしたが。

あと、途中で気付いたのですが、『X-MEN』と同じ世界観なんですね。そちらのシリーズは一切知識が無いために解らないことばかりでした。説明が無いのに途中で出てくる人たちと連携しても…。感情移入できないですよ…。まあ、それでも、某有名シリーズの “一見さんお断り!”というほどに物語に食い込んでいなかったからギリギリセーフでしょうか…。

というわけで。
うん。苦言ばかりで申し訳ないですが、基本的にツッコミながら楽しむ作品だから、こういうツッコミもアリですよね。たぶん。

まあ。アクションとか。ギャグとか。
相性が良ければ楽しめる作品だと思います。映像作品としての完成度は高いと思いますし、積極果敢に「つまらない」と声を上げるほどにダメなわけではありませんから。もしも、興味がある場合は、まずは予告編あたりを観てから判断した方が良いかもしれません。

To be continued… →→→ 『X-MEN アポカリプス』
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