ようすけ

デッドプールのようすけのレビュー・感想・評価

デッドプール(2016年製作の映画)
4.5
昔、こんなことがあった。
何かスカッとしたいなぁと思い、たいした知識はないけれど、アメコミなら超人的能力で正しいことをして悪党を倒すだろうと思い…………バッドマンのダークナイトライジングを観た。ヒーローの悲哀、ほぼ生身の人間と変わらずにボロボロになりながら闘う。そして爆弾を抱えていなくなる。悲しくなった。

話が違うだろ、と勝手に憤る。いや、いい映画です。ただ、観る側のタイミングが悪かった。

最近は自分が今見たい映画や、観る前から作品の匂いが分かるようになり、外れはかなりなくなった。ありがとうフィルマークス。ありがとう皆さん。

仕事が終わり、さぁ何を観るかと選んだのがデッドプール。最初の簡単なスタッフロールから「主人公はバカですよ。製作陣もふざけてますよ。」と煽る。心の準備はOK。映画ってこちらの状態や観るタイミングで評価が変わるよね。

騙されてはいけないのは、ただ醜いからだを隠すためと匿名性が欲しいからヒーローのコスチュームを着ているだけということ。別に無責任ヒーローではない。そもそも万人にとってのヒーローになるつもりは更々ないからヒーローとしての義務も感じていない。超人的な肉体と能力を持っていて、ヒーローのコスチュームを着ていることと、ヒーローであることは別。

冷静に考えたら物凄く過酷な主人公の境遇。幸せの絶頂期にこれはないでしょ、とも思う。殉職して改造されたロボコップを思い出した。あちらは明らかに正義だけど。

けれど、暗さを一切感じない主人公のユーモアと語り手としての語り口。時々劇中の自分の視点を通り越して観客にろくでもないことを語りかける。小声の暴言(本音)も観客向け。

仲間は攻撃力が最強だけれど耐久力が紙のお姉ちゃん。悪党面でサイボーグみたいなおじさんだけれど心は天使で正義の塊。

このおじさんがいいことを言った。フルタイムでヒーローでいる必要はない。肝心なときに正しい選択ができるか。

いやぁ、そうだよね。できてねぇけど。

笑えたのは不幸自慢大会と、クリーニング屋のおばちゃん。血の汚れは炭酸水とレモンのアドバイス。お婆ちゃんの過去に何があったのか。

かなり面白いし笑える。皮肉も効いている。

ただ、残念なのは子供に見せられないことだけかな。ヒーローものなのに。
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