SatoshiFujiwara

FOUJITAのSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

FOUJITA(2015年製作の映画)
2.3
2015.11.18 新宿武蔵野館

まず画面が暗すぎる。よく表情やセットが見えない。特に後半の疎開先での屋内。また、前半のパリでの描写と色彩に華やかさがなく、後半の戦争に際して帰国したあとの大本営の戦争画御用画家としての立ち位置や侘びしさとの対比が生きない。会話のリズムについては、抑揚がなく会話の合間に必ず一瞬の微妙な間が入り、速度も一貫してゆったりしている。これは当然狙っているはずだが(現代日本との精神的/物理的背景の違い、それに由来する口調や物腰の表現)、逆に間延びして映画から運動性を奪っている。前半のフランス語においても、意味自体は字幕なしでは分らないが「リズム感」が悪い。映画的に特段優れているわけでもなく、藤田嗣治の伝記的な側面を克明に描くわけでもない。なんとも中途半端な映画になってしまった。但し映像自体は美しい瞬間も多々あり(しかし末尾近く、映画が幻想的な度合いを増す中での水墨画のような画面は確かに美しいが、映画的な美しさとは少し違う)、音響も生々しい。まあしかし、個人的には限りなく駄作に近い。