画家の人生を描くのに、映像が美しくないわけにはいかないってことか。2時間余りの美しく、かつ不思議な映像体験。
ワンシーン、ワンカットごとに哲学があるようで、何を言わんとしているのかを常に考えてしまう(疲れることではあるけど)。
人物は周囲の風景とともに遠くから描くだけ。寄って表情をはっきりと見せることなんてしない。藤田嗣治の人物像を、常に周囲との関係のなかで描こうとするのか…なんて考えてしまう。
享楽的な前半と、うってかわって禁欲的な後半と。環境によって大きく変わっていく人間の本質が見える。藤田嗣治という人物をモチーフに、人間の本質に光を当てようとする作品だと僕には思えた。
まぁとにかく、考えこんでしまう映画ってことで。いい意味で。