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ピースオブケイクのとぽとぽのレビュー・感想・評価

ピースオブケイク(2015年製作の映画)
3.0
トモロヲさんだな~臭い演出、ぎこちない演技、何より独特の空気感・自然な日常を記録して切り取るようなとりとめもない雰囲気。ユルく笑えて優しく温かな眼差し。ちゃんとしたいのにちゃんとできず何だかんだで流されっぱなしの働き盛りな女性たちに共感し寄り添うワンルームみたいな小ぢんまりした印象の作品。めんどくさい家庭菜園?伸びっぱなしの裏庭。そういう何気なく難しい役柄を芸能界の"ブサカワ"とも言われる多部未華子が地に足の着いた好演をしているのがよりリアルで観客にきっと親近感・私のことだと思わせてくれる魅力をもたらすことに成功している筈。また脇を囲むキャストの豪華さ(それも役者田口トモロヲとしての人脈の広さか?)、その華を消したキャラとしての個性の雑多煮。特にゲイ役の松坂桃李、この当時の彼はきっと主役じゃなく進んで脇の難役に挑んでいた時期だったと思う。峯田さんの熱唱も聴けるというボーナス付き。うだつの上がらない日常の色んな出会いに満ちている。作品としては舞台や物書き、服飾といった表現に夢焦がれ取り付かれたように挑み従事する人々への応援歌・賛辞のようにも響くから不思議。そう考えると実に多角的な世界観でだからこそ際立つ主題。会えて良かった、もう会いたくないけどね。大嫌いや最悪というセリフは嘘つきを体現して幸せに終わるライトにハートウォーミングな手触り。大人!ぼくにはまだ分かりませんが、容易いことよね。
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