ゴト

私たちのハァハァのゴトのレビュー・感想・評価

私たちのハァハァ(2015年製作の映画)
3.6
ロードムービーには2パターンの見せ方がある。環境の変化による登場人物の関係性の変化と旅先での出会いによる心境の変化だ。

この映画は前者に比重を置いている。仲良し4人組の女子高生が福岡から東京へ旅をするという、非日常に身を置くことで微妙な関係性のズレが浮き彫りになっていくというものだ。

それを更にドキュメンタリータッチで見せているのが特徴でもある。どこまで演出しているかは分からないが、最低限の脚本というか設定だけ与えて、よーいスタートでエチュードみたいに演じる側に投げているようにも見える。さらにそこにホームビデオ的なカットが挟み込まれることで一層のリアリティを引き出している。逆に固定カメラの観客目線のカットがあることで観る側を置いてきぼりにすることを回避しているとも言える。

キャラクター設定をハッキリさせているのも、観客を上手く作品に引き込んでいる要素と言えるだろう。好きなアーティストのライブに行くという共通の目的があるからこそ、キャラクターの差異によるズレが際立つわけだから当然といえば当然なのだが、様々な捉え方があると観る側も感情移入しやすいという利点がある。

勢いだけの彼女たちがこの旅を通じて得たものに気付くのはもう少し先になるだろうけど、そこがまた未来ある若者という存在にうまく重なっていていいと思う。
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