昨年３月に劇場公開された山田洋次監督の『家族はつらいよ』がWOWOWで放送されたので鑑賞しました。
２０１３年に公開された『東京家族』とまったく同じ俳優、同じ配役なので、続編かと思っていましたが、そうではありませんでした。
劇中で妻夫木聡演じる次男坊の婚約者として蒼井優演じる間宮憲子が家族に紹介するシーンがあったのですが、初めまして・・・という挨拶だったことで、本作が東京家族の続編ではないことに気が付きました。
役柄を観てみると、東京家族で登場したのは平山家であり、本作で登場する家族は平田家に。蒼井優演じる婚約者の名前も間宮紀子から間宮憲子に変更されています。
本作のテーマは昨今話題となっている熟年離婚。
亭主の退職を区切りに、妻が離婚を切り出すという今や流行りになった社会現象です。
僕も今年いっぱいで会社は定年を迎えるので、他人事ではないテーマです。
妻役の吉行和子が長年連れ添ってきた橋爪功演じる夫に対して離婚の意思を告げるのですが、
その理由が、不倫や賭け事などの不貞、不義ではなく、夫の普段の何気ない行動やしぐさに嫌気がさしたということです。
これは作中で作り上られた虚構ではなく、どの夫婦にも当てはまっている現実なんですね。
僕も似たような感覚を妻から感じることがあります。
でも、寅さんシリーズを手掛けた山田洋次監督だけあって、離婚というテーマをコミカルに仕上、全体が暗くないので安心して鑑賞できました。
ときおり繰り広げられる家族のやり取りに、思わず失笑。
山田監督作品は温かみを感じることができるので好きです。
