回想シーンでご飯3杯いける

家族はつらいよの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

家族はつらいよ(2016年製作の映画)
3.2
小沢映画「東京物語」をリメイクした「東京家族」のキャストをそのまま起用したホーム・コメディ。監督は同じく山田洋次。

ただし、キャストは同じでも各人の人物設定は結構違うし、「東京家族」に比べてかなりコメディ寄り。棒読みっぽい台詞回しや、1から10まで説明してくれる丁寧な脚本は昭和っぽい感じで、最近の映画に慣れているとちょっと面食らってしまう。

しかし、この監督と役者陣で悪くなるはずもなく、熟年離婚をテーマにしたドタバタは、しんみりさせるシーンを挟みつつ、ほぼ予想通りの結末を向え、予想よりも少し大きめの満足感を与えてくれる。出演者の中では若手の部類に入る、妻夫木聡と蒼井優の爽やかな演技が作品を底上げしているのは「東京家族」と同じだ。

終盤で橋爪功がDVDで鑑賞している某名画のシーンをそのままストーリーの中に織り込む手法は、面白かったけどやや反則な気も。あれだけの名画なら、敢えて音のみの引用にして、それを観ている橋爪の表情で全てを語らせるみたいな演出の方が粋だったと思う。

ああ「東京家族」をもう1回観たくなった。