海猫

家族はつらいよの海猫のレビュー・感想・評価

家族はつらいよ(2016年製作の映画)
3.7
三世帯同居の家族たちそれぞれに適材適所の配役。その上にお話が進むにつれて一人一人が立ち上がり、演技のアンサンブルが生まれて滅法面白い。人数が多いのを全員活かし入り混じらせて、可笑しみを生み出すのは流石の山田洋次演出。ちょっとしたリアクションや癖のようなものが面白くて仕方がない。特にこの作品はコメディーに振り切っているので大いに笑った。まず印象に残るのは熟年離婚というテーマだけに、離婚を切り出した吉行和子。口数少なく出番が多いというわけでもないが、ちゃんと存在感がある。それを受けての橋爪功の片意地な不器用さ、一言余計なことを言ってしまうキャラクターの可笑しみと悲哀に味わいがあった。家族会議に突入したは良いものの、とんでもない騒動になってしんみりともさせる。不安さを打ち消すようにチョイ役で笑福亭鶴瓶が出てきたり、この辺の上げたり下げたり呼吸が上手い。「現代」を描いた、とするならば尖ってないがこの丸みが安心感を作り出しているとも言える。なかなか面白い今どきの人情喜劇だと思う。
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