<概説>
人類がここに至るまでの歴史が観客を魅了する。ポエティックな囁きによってゆるやかに紡がれる、90分間の耽美な映像体験。
<感想>
ドキュメンタリーには二種類。
言葉によって問題提起するもの。
言葉を放棄してなにかを提示するもの。
本作はその後者で、途中までなんの話かもわからない。
しかし問題提起に至るまではさほど苦になりません。問題よりむしろ眼前の美に打ちふるえるための作品で、そもそも問題提起のために作ったものなのかも謎。
ささやき、ささやき、ささやく。
ともすると安眠を誘いさえする彼女の声に意識を彷徨わせながら、あるがままを受けとめてほしい映像作品です。