七沖

セッションの七沖のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.5
〝<完璧>を求めるレッスン。二人のセッションは誰もみたことがないクライマックスへ――〟
全編から夢を追い求める、完璧を追い求める狂気を感じる。
初めてこの映画を観たとき、ラストシーンで呆然としてしまい、気づいたらもう1回続けて同じ映画を観ていた。

音楽学校に入学したドラマー志望のニーマンは、鬼教師フレッチャーに才能を見込まれ、彼が訓練している特別クラスに参加することに。だが、そこで待っていたのはプライドをへし折られるような壮絶なしごきで…というストーリー。

「ファッキン テンポ!!」
フレッチャーがマジで怖い。
今だったらパワハラ教師で一発でアウトなことばかりやっていて、特に親を引き合いに出してけなしてくるのは精神的にかなりキツい…。

フレッチャーに見込まれるかどうかでクラスメイト同士の心理的優劣も移り変わっていくのが生々しい。
フレッチャーに認めてもらうために、家族や恋人も蔑ろにして練習に打ち込む姿を見ると、独りよがりな痛々しさを感じる。ニーマンの振る舞いは決して褒められたものではないのだが…自分はこのニーマンの言動を笑い飛ばせない。
夢を叶えるにはここまでしなければいけないという覚悟が同時に伝わってくるからだ。
目標に向けて進まなければいけないのに怠けたり自分を甘やかしたりしそうな時は、このニーマンの気迫を思い出したい。

ニーマンの彼女になったニコルを演じているメリッサ・ブノワ、どこかで見たことあるなーと思ったらスーパーガールの人か!

ラストの演奏シーンは圧巻で、息をするのも忘れるという表現が本当にしっくりくる。
みんなで演奏しているのに、カメラは執拗なまでにニーマン(ドラム)とフレッチャー(指揮者)だけをライブ感あふれるカメラワークで映し続ける。
どこまで行っても、この映画は二人のプライドを賭けた戦いを描いた作品なんだな。

夢に向かって進んでいる人が観ると、強烈な焦りを覚えそうな映画だ。
エンドロールへの怒涛の入り方は何回観ても見惚れる。最後のフレッチャーとニーマンの通じ合っている感じからの音楽の快感が凄まじい。
七沖

七沖