トカゲロウ

セッションのトカゲロウのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.9
「芸術至上主義」という言葉がありますね。芸術にはどんな倫理観や社会的観念も邪魔なだけという極端な考え方です。
映画で例えるなら、、、殺人のシーンにリアリティを持たせるため自分の愛する子どもを殺してそのシーンを撮影するみたいな感じですかね?
常人には理解できなくとも、その狂気とも言える情熱と芸術性には畏敬の念を禁じえません。
実は、10代の時に私もこの考えに傾倒したこともありましたf(^_^;
文字を覚えたての小学生に、その典型の手塚治虫や芥川龍之介を読ませた母の英才教育の賜物でしょう(笑)

さて、高評価の今作に対してそんな私はかなーり訝しげに視線を送っていました。
なぜなら「芸術至上主義」という看板を首に掛けながら、ナルシズムに走っているだけであったり才能が追いついていなかったりと、しょーもない作品や作者があまりにも多いからですよ(「何様だ!」と怒られるかもしれませんが、偽物が多いのは事実ではないでしょうか?)
しかし、今作はその私の視線を跳ね返すほどの熱量を持っていました。
まるで麻薬ですねぇ。
吸ったことないですけど、、、
特に中盤のシーンのあのシーンなんてね、わかってらっしゃる!
嬉しくて笑っちゃったよ(°▽°)
欲を言うなら、手を複雑骨折にして欲しかった!

また個人的には、前述した「偽物」と「本物」の違いに客観性があるか否かという点を挙げます(例外はありますが)
冷酷なまで自分とその作品両方を客観視することで、多くの人の心を貫けうる作品になるのだと考えているわけです。
そしてこの映画には、かなりの余白が意図して作られています。
主題を浮き上がらせながらも、観る者に想像の余地を与えてくれる巧みさは唸らされました。
ただドラムを叩く映画であり、それだけでもないわけですよ。

雑なレビューになりましたが、最高の映画体験となったということです。
私、エンドロール中に小躍りしてましたからね(笑)
きっと人生の全てを賭すものを持つ二人は、ダラダラ生きている私よりも幸せなんだろなぁとも思いましたね。
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