ずけし67

セッションのずけし67のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
5.0
ジャケットが好みじゃないってだけでしばらくスルーしてたけど、なんか評判良さげなので借りて観てビックリ!
マイベスト級の”大当たり”作品でありました。


僕、中学の頃吹奏楽部でトランペット吹いてたんですよね。
そのときの顧問の先生の鬼っぷりがフレッチャーにそっくりでビックリ!
いや冗談抜きに本当あんな感じだったんですよ。
頭ハゲてないし、見た目は全然違うんですけどね。

部活始まって一旦音楽室に足を踏み入れたら、そこはもうピリピリ・ピーンの異様な緊張感で、隣の人と雑談なんてあり得ない、練習終わって音楽室を出るまで気が抜けない世界だった。
練習中もほんのちょっとタイミングずれたり、音程ずれたりするだけで「そこー!」って怒号と共に指揮棒まで飛んでくるし(椅子が飛んできたこともあったな(汗 )、指導中に先生からちょっと目をそらしただけで「よそ見すんな!」とビンタやケリが飛んでくる。
男子も女子もお構いなしにボッコボコ。
ビンタされて倒れる女子とか、楽器だけは壊すまいと楽器を胸に抱えて倒れてたなあ。

吹奏楽の各パートの中で、とりわけトランペットは目立つ存在なので(実際、トランペットがヘボいと楽団全体がヘボくなる)、シゴキの度合いもハンパなく、僕を含めてトランペットパートのメンバーはしょっちゅう立たされて、音出し→ダメ出し→音出し→ダメ出し→怒号→ビンタ→ケリ→音出し→ダメ出し~ みたいな地獄のループを30分でも1時間でもお構いなしにやられてたな。
本当、部活やってた3年間で何十発ビンタ食らったことか(苦笑

あまりの緊張感と恐怖で、先生ににらまれただけでお漏らししたり失神して倒れる子もいたっけ。
30年以上前の話なので今じゃとても考えられないけど本当の話。

部活動のトランペットとジャズドラムとは世界が全く違うけど、でも自分がメインプレイヤーの座を掴むんだ、掴んだその座は譲らないって感覚はどこか共通する部分があって他人事と思えないというか、ケガしてスティック握れないような状態でも自分のパートは渡さないってあのシーンも見ていて胸が熱くなった。

実際、僕も死に物狂いで練習してトランペットリーダー(1st プレイヤー)になってからというもの、責任の重さ以上にその座を誰にも譲りたくないという気持ちの方が強くて、辛いんだけどそれまで以上に必死こいて練習してたな。
何であんなに一生懸命になれていたのかよく分からないし、本当不思議なんだけど、でもそんなあの頃が、もしかしたら人生で一番緊張感を保って集中し、何かに打ち込んでいたときだったかも…
…いや、社会人として責任持って仕事してる現在じゃないんかーい! →と自分に突っ込んでみる

鬼教官フレッチャーのスパルタぶりが当時の部活顧問の先生とかぶったってのもあるけど、やっぱこの映画の醍醐味はラスト10分の情熱の応酬、ぶつかり合いですよ!
「驚愕のラスト」って触れ込みはこういう映画にだけ使ってほしい。
こんなに熱く情熱的で、心揺さぶられるどんでん返し、クライマックスを迎える映画ってなかなかありませんよ。

原題は『WHIPLASH』=ムチで打ちのめす=鞭打ち(ドラマーの職業病でもある)
ということらしいけど、邦題の「セッション」も、なるほど、だから”セッション”ね、となかなかではないかと思うのでした。
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