当時、街の単館で観たけれどエンドロールに入った瞬間に椅子から腰がずり落ちた。あの単館の椅子は斜めに座るとすぐ畳まれる。
ラストのニヤッとした表情に、
「ああ良かった、彼らはこれで和解するんだ!」
ってほっとした直後のエンドロール。
なにかを極めるときには綺麗事だけでは超えられない境目があるのだと思う。
その境目をずっと観ていた感じ。
思えば、「和解」なんて表層的なことじゃない…なんて凡人な発想なんだろう…
あのラストシーンは境目の向こう側にいった瞬間なのかも。
常人には辿り着けないような境地、狂気…
邦題より圧倒的に原題のほうがこの映画に即しているとおもう。
狂ったように音楽、というか自分だけの世界にのめり込んでいくシーンが続いて、他者の存在価値なんてなにも描写されない。
そういった意味で、セッション(邦題)よりwhiprash(原題)。
音楽に、自分に、鞭を打って埋没していく狂気じみた2人の生き方に息を荒くしながら観てしまった。
スルメ?いやいや分厚いステーキのような味わい深さ、何回観ても面白さが色褪せない傑作。