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セッションのumeのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.0
団のドラムを担当して、かつ血が滲むほど教師にしごかれた経験があります。そんなわたしでも終始アア…わかる…つらい…の連続でした。当事者の視点からこの独特な世界を、独りよがりな物語にせず切り取れたところがすごい。

あんなひどい仕打ちを受けているけれど、彼は出だしからめちゃくちゃうまい。ピッチなんて音感を鍛えてもなかなか聞き分けられるものではないし、テンポは焦るとつい判断力が鈍ってしまう。たしかに終始メトロノームは登場しなかったけど…
 奏者のごまかしを見破るほどの聞く耳を持つ指揮者というのもなかなかいなくて、だからこそあの強さに服従する社会が出来上がっていくのだと思う。合奏の空気の中では「文句は越えてから言え」って思うもんな。

とはいえ、音楽の良しあしってなんなのでしょう?完璧な音楽をというけれど、統制よりも自由を求める音楽だって山ほどあるし、わたしたちはドラマさえあれば稚拙な演奏に感動することだってある。セッションはそのあたりを問う映画だったように思う。
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