ハマー

セッションのハマーのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.8
『『規律』と『情熱』を感じさせてくれるJazz音楽の選曲。
ラストセッションはまさに『音楽』表現での殴り合い‼︎
元ジャズドラマーの監督自身が観た『夢(ララランド)』と『恐怖』が垣間見える…自伝的作品』


たまにはベタ褒めレビューも書きたいものです(о´∀`)
でも、改めて考えると作品を褒めるって難しいなぁ~🤔って考えてしまう。
良い作品って言葉にしてしまうと、チンケな感じがして、
褒めれば褒めるほど…語れば語るほど…
…と思いきや、いざノリノリで書き出すと語りたいことが山ほどあって感想が終わらないw
結果、書きたくなくなる…という自分がいます orz
素直に作品を褒めれる人が羨ましいです(´・ω・`)

と脱線しましたが、
今回は僕の観た映画の中で「人生ベストテン」入りしている実写映画です(`・ω・´)

レンタル鑑賞後に余りにも衝撃を受け、速攻でもう一回観てw
Blu-ray、(まだ2桁も鑑賞してない……はずw)、
サントラ、
最近パンフレットも購入。
ついこの間、念願の映画館での鑑賞も出来た。(まさかの爆音上映‼︎(=´∀`)人(´∀`=))
iPodで聴いてる曲は8割くらいこれのサントラ。もう…『ジャズ最高‼︎』としか言えない一本。

とりあえず「ジャズ映画観たい?」と聞かれたら「これ観とけ。」と言います。
ただし結構好き嫌い別れる映画であったりする。

鑑賞するのなら絶対、英語音声で。
「日本語の吹き替えなど生温いわッ‼︎(ラオウ風w)」ってぐらい、フレッチャー先生の演技は最高‼︎
J・Kシモンズさんの圧倒的覇気に感無量すること間違い無し(`・ω・´)b
文句無しの助演男優賞受賞‼︎👏
(吹き替えだと先生の台詞の覇気が無くなり、且つ台詞の内容もちょっとオブラートに…。
逆に先生の演技が怖過ぎる方には、吹き替えの方が良いと思います。)

これより先は、ネタバレ。










以下『絶賛』と『酷評』。
(今作に関して、『絶賛と酷評』が極めて観客主導感が強いです。自分が書いてしまうと殆ど『絶賛』という形になってしまうので、『絶賛と酷評』一緒くたにすることで、感想のバランスと重複化防止させていただきます。…内容は殆ど『絶賛』みたいな記載になってしまいますが(;^ω^))

①This is No.1 パワハラ&スパルタ Jazzティーチャー:フレッチャー先生の迫真の演技を刮目せよ‼︎
音楽院の優秀ジャズチームの先生。その役をJ・Kシモンズさんが演じるのだが、まぁ…控えめに言っても最高‼︎
日本なら間違いなく即解雇レベルの罵声たっぷりのパワハラ&怒涛のスパルタを繰り出す音楽先生。
もう、生徒に対する行動行き過ぎてホラーの様な恐怖を感じる…彼の存在こそパワハラを超え、『ホラーハラスメント』と化している。
これぞ!俳優👏というのをむざむざと見せつけられました(`・ω・´)b

②徹底したまでの『黒』のコントラスト。
この作品は、ほぼ『黒色』によって構成されており、それが独特の『恐怖』『闇』の空気感を出していることに成功してる。
主人子の表情が『闇落ち』していく危険な雰囲気も心をくすぶってきます。
だからこそのスポットライト演出も『光』として絶大な効果を感じさせてくれる。

③意外にも多解釈演出が多くて色々考えたい人にはオススメ。(反面、はっきりさせて欲しい人にはモヤモヤ…)
例えば、
フレッチャー先生が朝9時集合を朝6時にしたとか…
発表会の日に先輩の楽譜が無くなってしまったり…
最後の曲「キャラバン」が終わった後、彼らはどうなったか…
等、
『何故そうなったのか。』『どうなったのか。』といった答えが欲しくなる演出に対して、
敢えて答えを見せず、<観客の想像に委ねる>といったシーンが多い。
僕個人的には、<観客次第で感想が異なる>という点から、こういう演出はとても好きです。
他の観客の感想をシェアすると楽しくなる要素の一つ。
しかし、「最後まできっちり、はっきりしてほしい」という方には不向きだと思います。

④ヒロインの足が「ちょこん」…この仕草がまた見事。(個人的にww)
ヒロイン役のメリッサブノワさん。
本先では、明らかに『獲得』からの『損失』を描くための描写として、
主人公と付き合うことになるヒロインなのだが…
まさか洋画で、しかも男性監督で、こんなにも仕草が可愛いものが観れる日が来るとは…とは夢にも思いませんでした。
(洋画ってすぐ、ハグかブチューのイメージが強い。)
初恋の不慣れなアプローチの様に見えてしまい、心の中は『キャーキャー』言って、超絶萌えてましたww
友達に激しく語りすぎたときは、「お前、童貞かw」と爆笑されてしまいましたがw…
後悔はない…。このシーンが好きでいれるなら童貞挽回しても構わないw

⑤「音楽ナメんな‼︎」と、音楽家に不評なご都合的展開有り。
意外にも意外、音楽家には不評な作品だったりする本作。
『ドラムやってて手から血なんか出ない。それは叩き方が単にヘタクソなだけ。』とか、
『数週間前にいきなり呼ばれない。もっと共演者と連携を取った後で演奏する。』と、
ご都合主義的なところが批判されています。
そこに関しては、突っ込まれると結構痛い作品でもありますが、
何より今作は『音楽』を丁寧に描くが主体ではない。という所だと思いますので、
<『音楽』映画ではなく>、<『音楽』を使った映画>として割り切って鑑賞すると、さらに振り切って楽しめると思います。
(ちなみに手から血が出たのは監督の実話。
マイルズテラーがドラム演奏でケガをした血であることには変わりない…。
二人とも練習がヘタ…と言われると何とも言えませんが(;^ω^)w)

⑥最早格闘映画‼︎ラストセッションは『音楽』での殴り合い‼︎まさにWHIPLASH!!
もう凄過ぎる‼︎音楽でここまで戦えるものなのかと。ここまで熱い展開があったのだろうか‼︎と。
もう他のアクション映画なんて、この映画の主人公と先生との戦いに比べたらどうでもよくなってしまったぐらい衝撃的な戦い方でしたww
マーヴルとか他のアクション映画は、結局直接的、肉体的なダメージで戦ってるけど、この映画は正しく『音楽』で戦う!!
音楽の表現で戦い合うという所にとても惹かれました。
もはや戦いの次元が抜きん出ている所が本当に面白い。

⑦元ジャズドラマーの監督が観た『夢(ララランド)』と『恐怖』…
監督は、元々高校時代にジャズドラマーを演奏していた。
その時にジャズクラブで出会ったのがスパルタ教師だった。本作ほどキチガイ染みてはいなかったそうだが、大変厳しかったとのこと。
そもそも「自分に才能が無い」ということを自覚し、自ら見切りをつけてジャズドラマーを辞めたそうですが、才能が無いからと言って努力を怠っていたわけではない…
その時にも沢山の賞や何かの開会式などでも活躍されていたそうです。
しかし、その時の監督は自らの手の中に残ったものを見つめ直したのです。
手の中にあるのは、<トロフィーや賞、賞賛の声>…
それを手に入れるために自分は『何を捨ててきた』のであろう…
そこまでして手に入れたものは、本当に自らの人生にとって『幸せ』なのだろうか…
練習の日々は、寝られない夜もあれば、吐き気を催した日もあった。
その結果、『恐怖心』が監督に芽生えてしまうのであった。

『友達』『彼女』『家族』そして…『命』 ありとあらゆるモノを捨ててでも天才ジャズドラマーを目指して『突き進むこと』を選んだ主人公アンドリュー・ニーマンは、そんな監督の分身でもあり、なりたかったもう一つの自分でもあったのかもしれない。と想像しています。
そんな一途過ぎる人生は、ある意味監督が辿り着けなかった『夢(ララランド)』のように…
(故にラストセッションは、観れば観るほどに心が苦しくなる…)


⑧ラストセッションに『魂』を奏でていた主人公を観た…
ラストセッション…とくに彼が9分19秒という独断でドラム叩き続けるシーンがありますが、
このシーンは特に観客がどう感じるかが重要視されている。 僕が思った感想は、このシーンで彼は『バードになった』とか思わなかった。
彼は『天才』でもなく、人々を感動させるような『パフォーマー』でもない。
周りの演奏者に気にもかけない独断での演奏。
あの時の彼は、自らの『魂』『人生』を『音楽』という形で奏でていたのだと思った。
ありとあらゆるものを捨て、これまで培ってきた『技術』を駆使し、
人生を賭けた『自己表現』を魅せてくれたのが、9分19秒。
この曲が終わった後、彼は絶賛されたか…。酷評されたか…。誰にも分からない。
(低予算だから、お客さんの数も多いのか、多くないのか、も曖昧で観客の表情を移さない演出もニクいw)

しかし、そこには確かにアンドリューニーマンという1人の人間『魂』が存在したことを、堂々と魅せつけてくれた。と感極まりました。

その後彼らがどうなったか……
個人的には、あの時の音楽祭ではお互いを認め合い、再びコンビを組むのでろうが…
至高を目指すが故に争いが絶えなさそうww
というのが率直な意見です( ̄∀ ̄)

ちなみに爆音上映鑑賞の感想は、言わずもながですよww
恐ろしいぐらい、爆音がマッチしてて、自分でも「マジかよ…」と変な笑いと最高のテンションで、思う存分楽しむことができました‼︎

劇中で流れるED曲「Overture 」の何たる重低音‼︎
Blu-rayで見たときに、
EDに流れる時と劇中曲で、違いを感じていましたが、その違いがはっきりと分かりました。
まさかのOvertureでテンション上がるとは思わなかった。

そして、爆音でも使い方が上手いのは、やはり

「無音」

です。
WHIPLASHは、この無音状態をストーリーに沿って違和感無く多用しています。
この「無音」があるからこそ、最大ボルテージの音響が流れた時の興奮ったら収まらないッ‼︎
静寂からの爆音……
「なんて素晴らしい環境下で鑑賞出来てるんだ…」
と当イベントに敬意を表すと共に、
自宅のTV音響のクソさに絶望もしてましたww

フレッチャー先生 の
「fuc◯'in Tempo!!」や
「So for the final,FATHER-FUC◯ING time,!! SAY IT LODER!!」
(さあ クソッたれの最後に大声で言え‼︎)
やアメリカでは名台詞として、時々使われる様になった
「Not quite my tempo.」
(俺のテンポじゃない。)
が響く響く‼︎ww

後はもう分かると思います。
この時点で、これだけ楽しめたのであれば、CARAVAN なんて最高も最高。

最期のニーマン がフレッチャー先生を見るシーンで、
全力を出し切ったニーマンの息遣いが聞こえました。
(家のテレビでは聞いたことないです。)
爆音からの静けさ。ニーマン自身が己の魂そのものを奏でた瞬間を全身全霊で感じ取れました。👏

今更言うなよ感強いですがw
是非とも映画館で観るべき映画です‼︎
(爆音ならなおさら(`・ω・´)b)
ハマー

ハマー