ドラマーを目指す青年の挫折と戦いの話
暗転。ゆっくりとしたスネアドラムの1打。それがどんどんテンポを速くして、始まるストーリー。
まずその始まり方が最高。これはドラマーの映画で、これから広がりゆく物語を表していて、どの映画のオープニングよりもグッとくる。
オープニングで心をやられた後に、云々あってからの、バンドの演奏シーン。ケースから楽器を出す手元、リードを舐める口、トランペットのピストンの手元や楽譜の音符。
短いカットが積み重なりつつもまとまりがあって、バンドがより身近に感じる。
主人公がドラムを叩くシーン。練習しすぎて血豆が出来て、シンバルやドラムのヘッドに血が落ちる。
音楽と血、楽器と血。どの映画にもドラマにも(おそらく)無かった組み合わせが衝撃的。血と共に主人公の苦悶よ表情が印象的に頭に残る。
最後のセッションのシーン。バッドエンドかと思いきや、主人公と指揮者で始まるバトル。敵であり仲間である関係性がグッと現れて強烈に熱いラストになっている。
総じて熱くて苦しくてカッコイイ映画。怪物みたい