ロールシャッハ

セッションのロールシャッハのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.0
2024.2.14 109プレミアム新宿←New!

高みを目指した者として言わせて下さい。
"自分が満足できれば勝ち、満足できなければ負け!"

アンドリューは学生時代の自分だった。
偉大になって、名を残したい。ジャズではなかったけど、そんな欲に縛られて高みを目指した記憶が蘇った。
笑ったり、悔しがる時は必ず"自分の方がスゴい"という気持ちがあって良く理解できる。

最後のフレッチャーの目元と何か言ってるラストシーンは「Good job(上出来だ)」と言ってると思う。
それは"バード"になれなず、平凡に成り下がる、危険な2語だからだ。

ステージから降りるアンドリューはさながらシンバルを投げられたチャーリー・パーカーで、「もう帰ろう」と父に言われると、次のチャーリーは何があろうと挫折しないが脳裏をよぎってステージに戻り、復讐を仕掛ける。

アンドリューの気迫に負け、認めざるを得ない完璧な演奏を目の当たりにして、皮肉を込めてフレッチャーが放った言葉が「Good job」だ。
アンドリューはそう来なきゃと最後に微笑む。

これはドラマーを志して挫折したデイミアン・チャゼル監督にとってトラウマであり、実際にいた指導者への復讐の作品であるとインタビューで言っていた、今でもフラッシュバックするとのこと。
車を横転させた経験があり、近所の人に絆創膏をもらってドラムを叩いたという。
本当の経験だからこそ、粗削りで生々しい作品なのだと思った。

YouTubeで今作原案の短編を観たけど、フレッチャーはJ.K.シモンズじゃなかったら成立しないし、ほぼ無名の若者監督の作品をよく引き受けてくれたと思った。短編はアンドリューが主軸ではなく、フレッチャーがメインに感じた。
コノリーやマンガおデブちゃんは短編にもいて納得したし、演技上手くなってる。
長編は全体的に黄色い色味にして正解。

Caravan(キャラバン)のオリジナルはデューク・エリントン楽団。彼らの十八番として知られる名曲です。
ラクダ🐪で砂漠を移動する遊牧民をイメージした異国情緒が溢れるエスニックな印象を受けるラテン風味の曲。
ロールシャッハ

ロールシャッハ