勝ったのは農民だ

セッションの勝ったのは農民だのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
2.9
まず、良かった点から挙げていきます。

①主演2人の演技の上手さ。
JK・シモンズは自分の好きな『スパイダーマン』シリーズの新聞社の編集長としてイメージが固定されていたので、今作みたいなマッチョな鬼教師役を演じるのは意外でした。
そして、マイルズ・テイラーは今まで知らなかったんですが、一役者がやっているとは思えないほど、ドラムが上手く見えました。

②演出の上手さ。
特にJVCでやる2曲目は、本当に圧巻です。カメラワークもいいですし、映画全体通して滴る汗や血の質感が観てる側にも伝わるようにうまく撮っていることは理解できます。

③ラストの切れ味の良さ。
これは今作を実際に観た人なら分かると思います。

上記の3点だけでも観る価値はあると思います。なんせ、108分という上映時間の短さの割にかなり体力を消耗した気がします。それだけ見応えはある映画だと思います。

ただ、ストーリー上やキャラクター設定上、あまりにも理解できないポイントが多すぎます。
❶まず、鬼教師のフレッチャーの行動理由が全く分かりません。

特に、良い音楽作品に仕上げるため、今まで死ぬほど厳しく生徒に接してきたような教師が、最後でなぜニーマンにあのような行動を取るのか、さっぱり分かりません。
意図的に自分であの演奏をぶち壊しているようなもんですからね。
それと、フレッチャーの音楽指導って、果たして正しい理論的なものなんでしょうか?
ああいう劇中で描かれたような根性論的な練習は、高校野球部みたいなスポーツには精神や肉体を鍛えるためにある程度は必要だと思います。でも、音楽に関して必要なのかはさっぱり分かりません。これは音大生に実際に聞いてみたいですね。

❷主人公のニーマンも努力がすごいのは分かるんですが、その努力が音楽を良いものにするために直結してないように思います。あと、やっぱり自分が出たいがために周囲の迷惑をあまり考えていません。

名作バスケ漫画『スラムダンク』の言葉を借りると「お前のためにチームがあるんじゃない。チームのためにお前がいるんだ。」みたいな台詞があるんですが、これは、バスケに限らず日本文化に根強く残っている精神だと思います。アメリカ人は良きも悪しきも、その逆という印象です。
そこが、日本人である自分がイマイチ主人公に感情移入できなかった要因です。

❸途中、あの楽譜は本当にどこに行ったんでしょうか?しかも、あの持ち主のタイラーは疾患で記憶が出来ないのに楽譜を無くされて気の毒だと思います。ただ、そんな記憶力の悪い人が医学部に方向転換したのがよくわかりません。
なんだか、観ている側は同情していいのか複雑な心境です。

『ララランド』同様、このデイミアン・チャゼル監督作品は演奏シーンの魅せ方はすごいと思いますが、ストーリーは正直、好きなタイプでは無いようです。