すいか

セッションのすいかのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
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10万分の1秒の音響映画祭にて。

本作もラ・ラ・ランドと同様公開当時観て以来の観賞だが、最初観たとき「もう一度観るのはいいかな。」と感じたことを覚えている。

本当の限界まで追い込まれて生まれるもの。特に芸術の分野では、そういう状況で初めて見える世界というのがあるのかもしれない。フレッチャーはわざとそうやってニーマンを追い込んだのだろうか。退学後のニーマンと再会し、チャーリーパーカーのエピソードを引き合いにフレッチャーは自分の教育方針を正当化する。しかし実際は、自分にとってのチャーリーパーカーを育てられていない。最高の演奏をして世に認められたいニーマンと、次のチャーリーパーカーを育てたいフレッチャー。それぞれの苦悩が垣間見えた。
最後のキャラバンの演奏で、彼らは初めて対等な関係となった(ようにみえた)。お互いが高めあい、共鳴したあの瞬間、ニーマンは、「次のチャーリーパーカー」となったのだろうか?その答えは示されず物語は終わる。この置いてけぼり感が、今回は結構心地よかった。

そのほか感想。
・鬼教官フレッチャーの教室に漂う異様な空気感がキツイ。彼が入ってきた瞬間、空気が変わって鼓動が早くなって、じわっと嫌な汗をかくあの感じ。職場でもこういうタイプの上司(フレッチャーよりマシだが)がいたため、あの場にいる者たちの気持ちがちょっとわかる。あー、つらい。逃げたい。今すぐ逃げたい。と心の中で呟いた。
・マイルズテラーを見て思った。ちょっと問題を抱えて必死でもがく役が似合う。朴訥として寡黙な雰囲気だからだろうか。
・演奏される曲がぜんぶかっこいい。作中1番よく流れ、原題でもあるwhiplash、いつか生演奏を聴きたい。
・ニーマンの父親が、とても素敵。色々性格に難ありのニーマンを包み込む深い愛が、とても温かい。
・音響最高。そして大きなスクリーン。映画館でもう一度観られてよかった。

9本目。
すいか

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