み

セッションのみのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
5.0
自分を犠牲にしてでも相手に幸せになってほしい利他主義とか、少しでも相手に認められることで(行動における"見返り”を求めて)自分に価値をつけていくとか。人生に価値を求めるというのは当たり前とも言えるんですが、この作品は”恋愛”や”努力における見返り”などそういうものに価値を一切求めず、どこに自分をぶつけていいのか分からない二人の、人生における価値を最後まで度外視した作品。
存在したコミュニケーションは他人からみたらどういうことか分からないだろうけれど、多分本人達も分かっていない。
そこには恐らく常識的なコミュニケーションは存在しておらず、ラストで表現されるドラムを挟んだ関係性が彼らの世界の全てなんだよね。


音楽映画で静寂を使い、入室だけで空気を変える人物が登場することで演出する”緊張感”はなかなか体験できるものではない。
視覚と聴覚を共に体験できる映画ならではなので、セッションは本当に映画向きなんだよね。
どうして序盤から緊張感を演出する必要があるのかは、結局のところ自分の時間を使ってまで指導しているが、あくまでもこれは利他主義とは関係ないと視聴者に向けて分からせる必要があるからだ。

痛みというのは人生において感じるものではかなり上にくるというか、例えば悲しい気分でも事故にあったりしたら痛みで一時的にでも薄くなったり消えたりするものだけれど、痛み以上に彼を動かすなにかがあるんだよね。
それは人生にとって痛みを感じるよりも”ドラムを叩く”ということが優先されているからで、
行動の”結果”に不幸を求めるものはいなくて、痛みというのはかなりシンドくて治したりやわらげたりしたいもの
だけれど、その結果生まれる痛みが無くなるという幸福よりも”ドラムを叩く”ことの先に幸福を感じているのを
「狂気」と呼ぶのはちょっと違うと思う。
狂気って誉め言葉ではないですからね。他人の幸福を貶めるのはどうだろう。そう考えるけれど、
彼らを突き動かすものは狂気じみているといってもいいかもしれない。
本当に痺れる映画だ。

とあるVTuberが同時視聴というのをしていたのではじめて参加してみたけれど、とても楽しいものだ。
結構初見の人とかもいて反応をみているのも楽しいし、VTuberのテンション上がった声とか聞けるのもいいね。
また参加したい。
み