小波norisuke

百日紅 Miss HOKUSAIの小波norisukeのレビュー・感想・評価

百日紅 Miss HOKUSAI(2014年製作の映画)
4.0
杉浦日向子さんの著作も読んだことがなく、アニメーション映画もほとんど観ないが、映像が美しそうであること、葛飾北斎の娘に興味を持ったこと、そして実写映画「はじまりのみち」が印象的だった原恵一監督の作品ということに惹かれて鑑賞した。

素晴らしかった。
お栄が渡る、長い長い両国橋。
お栄と目の見えない妹お猶が隅田川を行き交う舟に乗っているときに、幻想的にあらわれる北斎の波の画。とても美しい。

畠中恵さんの「しゃばけ」シリーズで親しみを持つようになったが、お江戸は妖(あやかし)の世界。この作品でも、妖が不思議な魅力を醸し出している。

妖と共に、妹お猶の目が見えないことも、想像力を掻き立て、より奥深いお江戸を見せてくれる。いろいろな音がする両国橋。お栄の説明で見るお江戸。隅田川の水の感触。神社の雪の冷たさと重たさ。蚊帳の上にいる何か。そして金魚。

お栄やお猶とともに体験したお江戸にワクワクし、最後はじんわり温かい気持ちになる。

ぜひ海外の人にも観てもらいたい。

 
小波norisuke

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