らいち

ロスト・イン・マンハッタンのらいちのレビュー・感想・評価

3.0
新作DVDレンタルにて。日本未公開映画。
現代のニューヨークでホームレス生活を続ける男を描く。ドラマではなく、ホームレスの「生態」を追ったドキュメンタリーに近い。どこで起きて、昼間は何をして、何を食べて、どこを寝床にするのか、その日々の生活をひたすら追っていく。主人公がホームレスになった背景は描かれないし、劇中、主人公にとって転機となるような展開も用意されない。かなり意図的だ。
ニューヨークの街にはホームレスと一般人を分ける見えない壁があれば、彼らに手を差し伸べる良心も存在している。主人公の男はホームレスの仲間もいなくて孤独。家族(娘)と思える人物が途中から登場し、唯一、ドラマの気配を感じさせるが、観客の共感を呼び醒ます流れにはならない。「どうしてこうなってしまったのか」という主人公のため息は、おそらく実情の真実で、何がきっかけでホームレスになったのか自覚できない人たちが多いように思えた。本作は、ホームレスの前に横たわる現実を描くことに終始しており、それが社会問題として注目されることに意義を見出そうとしているようだ。
しかし、2時間という尺で、ドラマ性を帯びないストーリーは正直なところ退屈である。邦題の「人生をもう一度」と希望を匂わすサブタイトルも苦しい。
主人公演じるのは、リチャード・ギアだ。ハリウッドスターとしての気配を完全に消す。どこからどうみても、少しハンサムなホームレスだ。「他のホームレスと違って、自分は清潔だ」というセリフが痛い。リチャード・ギアは本作の製作も兼ねており、ニューヨークのホームレスの問題を見過ごせなかったのだと思う。彼がそんな人道主義者だったとは意外だった。
【60点】