emily

惑星ミズサのemilyのレビュー・感想・評価

惑星ミズサ(2014年製作の映画)
3.5

 田舎町のちょうちん屋の息子。変わり映えのない毎日に嫌気がさしていた。ある日風俗店に行ってみると、そこで自分を宇宙人で、自分が風俗をやめると地球が滅亡すると話すミズサと出会い、恋に落ちる。そんな嘘みたいな話が現実化されていき・・・

 日々の移り変わりを、ちょうちんをからから回し、制作しているシーンを切り替えながら、変わり映えのない壮大な田舎の景色を、一日の色と共に綴る。日が明け、やがてオレンジ色の夕日が包み、現実感と幻想感の狭間を上手く縫うように、SF要素を自然ないきさつで盛り込んでいく。ストーリーはゆっくり流れるが飽きがこない。会話の間だったり、それを埋める掲示板や、引きのカメラでじっくり見せる田舎の景色、何気ない風景にしっかり美を感じさせる。

 ファンタジー部分も独自のテンポにより、リアル枠が大きく包み込み、二人を取り囲み人々の、”変わり映えのない日常”をいとおしく、変わらないことの幸せをしっかりと描く。

 何気ないいつもと違う自分の行動が、思わぬ転機をもたらすことがある。やはりその一歩を踏み出すのは自分自身だ。しかし変わり映えのない物の中に幸せは確実にある。求めるのではなく、そこをしっかり見つめれば、ちゃんと手に届くところに幸せはあるのだ。そこがあなたのそうして私の居場所である・・・
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