ねまる

ブリッジ・オブ・スパイのねまるのレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
4.0
"Aren't you worried?" 不安か?
"Would it help?" それは役に立つのか?

スティーブン・スピルバーグ監督
トム・ハンクス主演
マット・チャーマンの脚本は、コーエン兄弟が改訂した、
実話ベースの完璧布陣映画。

あまりにガチガチに固められた完璧さなので、重い感じなんじゃ無いかと思ったが、
コーエン兄弟の言葉の力なのか、
冒頭に記載した主人公と捕まったソ連スパイ・アベルのやりとりが繰り返されることでテンポを作ったり、
事実を脚色して静かなるスパイがメインの中でもハラハラドキドキを盛り込んだり、
実話を基にしたドラマでありつつ、エンターテイメントとしての映画である、
ある意味この布陣だからこそ成り立つテイストの映画が出来上がっていた。

映画自体の話はもちろんなんだけど、
この作品でアカデミー賞助演男優賞受賞したマーク・ライランスの素晴らしさ。
長く舞台を中心に活躍していたイギリスの俳優さんだけど、これからも良かったら日本でも観れる映画の作品にもっと出て欲しい。
スピルバーグが彼が大好きで、その後3本続けて出演させてる理由も分かる。
『シカゴ7裁判』ももともとスピルバーグが監督をする予定だったもんね。
今年のアカデミー賞。
ノミネートされなかったけど、
『シカゴ7裁判』のマーク・ライランスが私の助演男優賞でしたよ。

この映画では、
ジム・ドノヴァンという冷戦時代の人質交渉の英雄が主人公の歴史モノなんだけど、
彼が弁護することとなる正体不明の敵国のスパイ、ルドルフ・アベルをいかに愛せるかというところが肝になっていて、
どんな立場にあっても、自らの信念を曲げず、通し抜くスパイとしての信条や、
自分の尊敬する人間に例えてドノヴァンを信頼する姿勢や、
絵画や歌を好む人間としての一面など、
マーク・ライランスのキャラ作りが素晴らしかったのだなと思いましたね。

ちゃんと国に帰れたらいいなって、
殺されなきゃいいなって、
全てを悟ったようにWould it help?って言われたら、
あの表情を見たら、
自国の話じゃないからではなく、
そう思っちゃうよね。
ねまる

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