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ブリッジ・オブ・スパイのkimaguremovieのレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
4.0
空気ばかり読みがちな日本であれば村八分になるような、一匹狼がヒーローです。
憲法とルールによって立つ社会などなかなか存在しないですが、彼はクリアにそれを実践し、政府を出し抜いてまで成功させてしまう実話に基づいたストーリーでした。
ロシア人スパイの描き方が素敵。あのトムハンクスとなんとか対峙できた!って思いましたが、ソ連のそのスパイの不屈さとヒーローの不屈さが共鳴し東西を越えて連帯していました。
東ドイツが絡むことで米ソだけの冷戦から一歩入り込んでくれたのも良かったです。なかでも壁、ベルリンの壁。あれは振り返れば悪戯のような冗談のようなシロモノですが分断の歴史そのもの。それをつくりあげる所をしっかり写してくれています。
ベルリンのあっちとこっちもよく描かれていたと思います。壁ひとつであれだけの別世界だったのです。ソ連や東独との交渉は、人間ならではの相手の心理を突いている感じはしましたが、読み込めなかったところもありました。
ラストシーン周辺はいろんなテーマを回収しまくっていたので少し忙しかったですが、ヒーローと家族、ヒーローの表情が東西冷戦ならではの時代感を映したものでした。電車の中でみんなが新聞読んでいる、というのももはや時代がかってますね。電車の各シーンも秀逸でした。
個人的には、家族には目的を隠しての渡欧。帰宅直後よスパイ解放のニュースで、自分の名前が報道された瞬間、家族が驚く瞬間、でも自分は戦い疲れた兵士のごとく着替えもせずに寝ている姿、ここもなぜだか心が震えました。
意図的なのでしょうが全体として盛り上がりという部分は欠けていたり(冒頭を見て察しろってことでしょうが)、CIAが国体制を示す存在でもありますが間抜けだったり、これだけのヒーローをトムハンクスが演じてしまうと、キャラが立ちすぎてあとはお呼びじゃないというくらいの存在感の強さがあって、かえって感情移入しにくい要因になっりと、いい始めればあれこれありますが、これがスピルバーグの世界観なのでしょう。
長い時間を全く感じさせず、楽しむことができました。