ティムロビンスに激似

ブリッジ・オブ・スパイのティムロビンスに激似のレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
3.0
本作で印象的だったのは、主人公のドノヴァン弁護士と、CIAのホフマン捜査官の対話だ。

ソ連のスパイ、アベルの秘密を探ろうと、ホフマン捜査官は、アベルの弁護を務めるドノヴァン弁護士に対し、国家のために「(弁護士の守秘義務という)規則は無視しろ」と言い放つ。
ドノヴァン弁護士は、ホフマン捜査官に対してこう返答する。

「ホフマン捜査官…あなたの名前のホフマンというのはドイツ系だ。私はドノヴァンだが、ドノヴァンはアイルランド系だ。それでは、我々をアメリカ人たらしめているのは何だ?」
「それはただ一つ、アメリカ合衆国憲法という「規則」なのだよ。だから「規則は無視しろ」なぞ言うんじゃない。」

ドノヴァン弁護士は、以上のセリフに代表されるように、規則を遵守しつつ、厳格なレトリックで己の正義を貫こうとする。
それをしてアベルに「不屈の人」と呼ばしめるほど、ソ連のスパイであるアベルとの交流を深めていく…
ということなのだが、ストーリーに色々詰め込み過ぎなきらいがあり、この辺の描写が弱かったのが残念。

アメリカ合衆国側から東西対立を描いているので、基本的に「西側バンザイ」映画であり、既知の事実を基にしているので展開にあまりドキドキハラハラ感はない。
であれば、米ソと東ドイツ、それぞれ三つ巴の思惑を渡り合う巧みなレトリック合戦をもっと観たかった。

さしものコーエン兄弟も、本作の脚本については大人しめか。