スワヒリ亭こゆう

ブリッジ・オブ・スパイのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
3.0
2016年の劇場観賞1作目はスピルバーグ×コーエン兄弟×トム・ハンクスの本作にしました。
思えば僕はスピルバーグが監督した作品を劇場で観るのは初めてなんです。
なので期待値もかなり上がりました。

まず見終わった感想として思ったのは悪くないけど決定打に欠ける作品だと思いました。

実話を基にした脚本なのですが、この脚本はあまり誇張せずに作られたのでしょうか。
確かにリアリティはあるんです。
でも、リアリティがあるだけで遊びがないというか、ストーリーがきっちり収まりすぎだと思ってしまいました。
交渉がキーになるストーリーに派手さがないのは仕方ないんです。
それでも派手さがない分、緊張感をもっと出してほしかったです。


元々、このストーリーで、世界を米ソの戦争から救った男っていうのは大風呂敷を広げ過ぎです。
映画の序盤でドノヴァン(トム・ハンクス)はソ連のスパイ・アベルの使い道を判事に言ってしまってます。
その時点で九分九厘ストーリーは決まってしまいました。
コレは本当に勿体なかったです。
この一言の為に緊張感を生み出すことなく進んでいくストーリーになってしまいました。


それにしても米ソの冷戦時代を題材にした作品って難しいんですよね。
だって米ソは戦争を起こさなかった訳ですよ。現代人はそれを踏まえて観ます。でも、映画の中では米ソの冷戦時代を緊張感を持って描く。戦争を起こさないように、みんな必死ですよ。
このギャップを埋めるのはなかなかしんどいんですよ。
だから「この話がなかったら戦争が起こってたんじゃないの⁈」っていうくらいインパクトがないと、冷戦時代の映画を2016年現在では緊張感を持てません。


スピルバーグの演出はさすがで見易いし、セリフで説明しなくても映像を観てれば伝わる演出は秀逸でした。
この一番の見所は電車の中でしょうね。
分かりやすく色んな情報を伝えてますよ。
ドノヴァンを見る電車の中の乗客の表情など、さすがでした^_^