茶一郎

ブリッジ・オブ・スパイの茶一郎のレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
4.3
『Saving a Private Soviet 』

 時は1957年、アメリカとソ連間の冷戦下。弁護士ドノヴァンはアメリカで逮捕されたソ連のスパイの弁護士として選ばれる。敵国のスパイを弁護することで彼は世間の批判を浴びることになる。そんな中、今度はソ連でアメリカのスパイが逮捕された。ドノヴァンはアメリカのスパイと自分が弁護したソ連のスパイを交換する任務を命じられることになる。
監督は説明不要スティーヴン・スピルバーグ。コーエン兄弟が脚本を担当。

 今作はグロ描写が全くない、やさしいスピルバーグ。冒頭のセリフが全くないソ連スパイとFBIの尾行劇から、シリアスな中にコメディが絶妙にマッチする会話劇に進展。
非常に複雑な(complicated)題材をエンターティメントに昇華してしまうスピルバーグの確かな手腕に舌を巻く。

 今作でもスピルバーグの一貫したテーマは内在している。『穢れなき者を救うことの尊さ』穢れなき、劇中では『innocent』と表現されるそれは東ドイツで逮捕されてしまうアメリカ人大学生。そして、祖国を決して裏切らず任務を全うしたソ連のスパイ。周りがいかに反対しようと主人公はその『純真』を救うことをやめない。
 
 任務を終えたドノヴァンが電車の中で乗客にどう見られるのか、電車の窓から何を見たのか。会話劇としても実録映画としても現状トップレベルのクオリティを堪能。