晴れない空の降らない雨

ブリッジ・オブ・スパイの晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
3.8
「芸術」を気取らず、分をわきまえたうえで、上質・上品な大人の娯楽作品をつくってくれるのがスピルバーグだ。『リンカーン』などと同様、監督が思う「真の愛国者」がこういった人物なのだろう。まぁ俺はアメリカが嫌いなので、スピルバーグの絶妙なバランス感覚に対しても、どうも斜に構えてしまって損している気がする。だが、くだらないことは考えずに素直に観るべきで、そうすれば、間違いなく本作の主人公も素晴らしい人物である。
 脚本を手がけたコーエン兄弟の作品は2本しか観ていないが、前半の裁判パートと後半の交渉パートに分けることで、地味な題材でも飽きさせない141分だった。セリフ回しがうまくて、ギャグも冴えている。しかし、引き渡し時のミスリードは、登場人物のその後を簡潔に伝える最後のテロップで拍子抜けした。でも映画的にはあった方がよかったと思う。むしろテロップが余計。
 映像的にも見所は多く、1950年代のアメリカ、そして戦争の爪痕残る東ドイツ、建設途中のベルリンの壁、どれもよかった。墜落シーンは、作品が変わったのかというくらいスペクタクルだった。また、なんてことないシーン一つひとつが、これしかないって感じの無駄がないカメラワークで撮られていて、本当に惚れ惚れする。さすがはスピルバーグ! 傑作です。